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こだわりのワクチン接種とその記録方法

[2019.06.21]

きっかけ

つい最近、海外に転勤するので、ワクチン記録を英文で記入してくださいというお願いが立て続けにありました。

そんなことから日本の母子手帳だけでも緊急時には証明のかわりになること(相手がOKならばですが)

そのためには、国際的に通用するように記載がしてあること、を意識して当院では記録をつけています。

発端は海外からやってきた人のワクチン記録をみせていただいたとき、アラビア文字がならんでいたり、ハングル文字だけで書かれていたのをみたことからです。

あれ、これじゃ読めないなあ。

でも自分も日本語でこれまでは記入していたことにハッとしました。

僕のも彼らからしたら読めないじゃないか。

ワクチン接種記載は英文

それから、僕のワクチン接種記載は英文にしてあります。もちろん英語がよめない国の人もいますが、医学的学会は基本は英語でのやりとりが共用語のように使われていることがほとんどです。

医師免許もっていれば、しゃべれなくても読めるはずです。

具体的には、接種月齢と接種部位を外国人医師がみたときにわかるようにしてあります。

接種日だけでは何歳何ヶ月で接種したのか計算しないとわかりません。
そこで0y3M(0歳3ヶ月)といった表記にしてあります。Y=year M=month の略です。
これがあれば、わざわざ計算しなくても必要な月齢でワクチンを接種したのか、おくれがちで接種している子なのかがワクチン専門家ならひと目でわかるからです。

接種年月日も和暦ではなく西暦を徹底させています。

他院でうったものから正しく時間をあけているかどうか判定するのに誤接種するリスクを少しでも減らしたいからです。

海外の医師から和暦の記録をみるのは、わたしたちがイスラム暦やタイ歴でワクチン接種年月日を確認するようなものでしょう。

 

部位に関しては、

左、腕、 をL Arm
右、大腿部をR Thigh

といったように記載しています。

余談

余談ですが千代田区の予防接種の用紙にはこれまで、接種部位として 上腕 しか記載がありませんでした。
改定にあたって千代田区の担当者に連絡して、 上腕 大腿 の併記にするようお願いして実現することがかないました。(意見をとりいれてくださった予防接種部会の方々のおかげです)

日本では法律で一部のワクチン以外は皮下注射が決められていますが、他の国では大腿部に筋肉注射するのが普通です。

米国では、大腿部であれば小さな赤ちゃんでも片方に 3 か所くらい接種しています。日本でも、2011 年に日本小児科学会が大腿部への接種を積極的にすすめる声明を出し、2012 年に承認され、同学会から医師や自治体向けの「予防接種ガイドライン」に大腿部接種がイラスト付きで推奨されています。 

大腿部推奨の理由は、痛みが少ないこと、同時接種は場所を 2・5 ㎝間隔をあけるために面積の広い大腿が適しているからです。
「世界標準」「腕より痛くない」「接種部位が広くて同時接種に適している」ことから、当院でも小さな赤ちゃんには大腿部接種を基本としています。

よく、日本では 皮下、0.5ml のようなことまで記載している場合があります。
悪くはないと思いますが、薬によって投与場所、投与量は決まっていますので、決まっていることをわざわざ書かなくてもいいのではないか、とも思っています。

たとえが悪いですが 靴下、2つで1組 、足にはかせた、と書いてあるような印象がしてしまうのです。
それよりは違いが発生しているところに着目して、靴下 紺色 ハイソックス サイズ23cm のように変化する部分を特定する情報こそが有用だと思うからです。

それでも、日本脳炎ワクチンを3歳前にうつときなど、イレギュラーで普通の量と違う場合には当院でも0.25mlのように表記をすることもあります。

 

いろいろな工夫をしていますが、おおもとにある考えは、予防接種するお子さんがこのグローバル時代に日本という枠組みをこえて世界で活躍するお手伝いになれば、と願ってのことです。

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