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インフルエンザワクチンQ&A

[2019.10.02]

小児科医の杉原です。

よくある、インフルエンザワクチンについてのQ&Aをこちらにまとめてみました。

ベースにしているのは、尊敬する岡部信彦先生監修のインフルエンザワクチンQ&A ですが、それに筆者の知見を加えています。

Q1 今シーズンのインフルエンザワクチンとワクチンの有効性についておしえてください。

 
季節性インフルエンザの流行はA型とB型の混合流行があります。
これまではA型2種類、B型1種類を含んだ3種類に対応するワクチンでしたが、
2015/2016シーズンからA型2種類、B型2種類の4種類(=4価といいます)に対応する4価ワクチンが使用されています。
 
実はこの内容は毎年選定作業があるのです。WHO(国際保健機構)が世界におけるワクチン推奨株を南半球のシーズン前と北半球のシーズン前の2回選定しての発表があります。
 
この推奨株を参照にしながら
国立感染症研究所で次のシーズンに流行しそうなウイルス株の候補をあげ、
ワクチンメーカーが実際に生産できるかの評価をおこない、
厚生科学審議会の小委員会で議論をおこなった結果、
厚生労働省が最終決定し通知がだされて
ワクチンメーカーが製造をおこなう、
という複雑なプロセスをへて最適な株が選ばれているわけです。
選定理由の詳細が知りたい人は国立感染症研究所のホームページで閲覧することが可能です。
 
ちなみに今年2019/2020シーズンの製造株は
A/ブリスベン/02/2018(IVR-190)(H1N1)pdm09
A/カンザス/14/2017(X-327)(H3N2)
B/プーケット/3073/2013(山形系統)
B/メリーランド/15/2016(NYMC BX-69A)(ビクトリア系統)
 
このインフルエンザ株の表記方法も電車のクハE233-0 のような秘密の?表記ルールがあって面白いのですがマニアックになるので割愛します。
 
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Q2インフルエンザの予防には、ワクチン接種を毎年継続したほうがよいですか?

 
ワクチン効果の持続期間は約5ヶ月であること、ワクチン株はウイルスの流行状況から毎年のように変化・進化がおきていることから毎年接種することが必用になります。
 
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Q3インフルエンザワクチン(不活化)の接種にあたり、とくべつな薬、他のワクチン、麻酔との併用注意点をおしえてください。

 
日本のインフルエンザワクチンは不活化されたHAワクチンであるため、免疫があるなしにかかわらず、ワクチンウイルスのせいでインフルエンザが発病するということはありえません。副反応として発熱したり腫れたりすることはあるものの、これはインフルエンザの発病とは全く異なるものです。
 
免疫抑制剤、抗がん剤使用中の患者さんへの不活化インフルエンザワクチン(点鼻の生インフルエンザワクチンもあるのでわざわざ「不活化インフルエンザワクチン」と記載しています)接種は、免疫獲得が不十分になる可能性はあるものの、おおむね可能といっていいでしょう。迷われる人はまず、免疫抑制剤や抗がん剤を処方している主治医と相談しましょう。
 
しかし、抗体産生不全、たとえばリツキシマブ(抗CD20抗体)を使用中の患者さんにおいては効果を期待できません。
 
一般にその他の製剤(ガンマグロブリン製剤を含む)の投与による影響はないとされています。
 
 
他のワクチンとの同時接種はもちろん可能です。
 
副反応(有害事象)の紛れ込みを防ぐという目的で、全身麻酔前後に一定の間隔をあけることが勧められていますが、どこまで時間をとるかはケースバイケースです。主治医の先生と相談しておきましょう。
 
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Q4小児におけるインフルエンザワクチンの用法・容量と有効性・安全性についておしえてください

 
日本の不活化4価インフルエンザワクチンの摂取量は
生後6ヶ月以上3歳未満で0.25ml
3歳以上で0.5ml
13歳未満は2回接種です
 
なお、6ヶ月から1歳未満の乳児では統計学的に有意な効果は示されていないため、
当院では積極的にはお勧めしていません。
 
生後6ヶ月未満の児には適応外ですから接種しません。しかし妊娠中のお母さんに接種することで、妊婦さんのみならず出生後約6ヶ月までも児に効果的であることが報告されています。
(Takeda S. et al ; J Infect Chemother.21(4):238-246,2015.)
 
 
熱性けいれんを繰り返しているお子さんには、日本小児神経学会から「現行の予防接種はすべて行って差し支えない」と声明がだされています。
ただし、保護者に対し、ここの予防接種の有用性、副反応などについての十分な説明と同意に加え、具体的な発熱などの対策を指導しておくことが必用とされています。
 
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Q5他のワクチンとの接種間隔について教えて下さい。

 
その直前に受けたワクチンによって変わります。
 
直前に受けた予防接種が生ワクチンであった場合(BCG、MR、麻疹単独、風疹単独、水痘、おたふくかぜ、ロタウイルス、黄熱)
接種した日の翌日から起算して27日以上の間隔をあけます。
わかりやすくいうと、4週間後の同じ曜日に接種可能です。
 
直前に受けた予防接種が不活化ワクチン、あるいはトキソイドであった場合(B型肝炎、Hib感染症、小児の肺炎球菌感染症、DPT-IPV、DPT、DT、ポリオ、日本脳炎、ヒトパピローマウイルス感染症、高齢者の肺炎球菌感染症、A型肝炎、狂犬病、破傷風、成人用ジフテリア、髄膜炎菌感染症、帯状疱疹)
接種した日の翌日から起算して6日後以上の間隔をあけます。
わかりやすくいうと、1週間後の同じ曜日に接種可能です。
 
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Q6同時接種は可能でしょうか

 
同時接種が可能です。ただし他のワクチンと混合してはいけません。
接種率を向上させ、複数の疾患に対する免疫の早期獲得、保護者の経済的・時間的負担軽減といったメリットが多いのが特徴です。
乳幼児1219人を対象とした研究では単独および同時接種した際の安全性を検討しワクチンの数による発熱率や局所反応の出現率に有意な差は認めなかったという結論がでています。
(庵原俊昭,他:日本小児科医会会報.48:121-123,2014.)
 
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Q7帯状疱疹、おたふくかぜなどのウイルス性の病気にかかったあとのインフルエンザワクチン接種はいつごろにすればいいのですか?

 
日本の予防接種ガイドラインでは,疾病罹患後のワクチン接種について,「麻疹,風疹,水痘およびおたふくかぜ等に罹患した場合には,全身状態の改善を待って接種する.医学的には,個体の免疫状態の回復を考え,麻疹に関しては4週間程度,その他(風疹,水痘およびおたふくかぜ等)の疾病については治癒後2-4週間程度の間隔をおいて接種する.その他のウイルス性疾患(突発性発疹,手足口病,伝染性紅斑等)に関しては,治癒後1-2週間の間隔をおいて接種する.しかし,いずれの場合も一般状態を主治医が判断し,対象疾病に対する予防接種のその時点での重要性を考慮し決定する.」と記載されています.
 
当院では,原則としてワクチン接種まで空ける期間を,
 
(1)発熱があった場合には解熱後1週間
(2)水痘,風疹,おたふくかぜ等罹患後には2週間
(3)麻疹罹患後には4週間
(4)熱性痙攣後には1カ月間
としています.
 
なお軽微な咳・鼻だけで発熱がない場合や抗菌薬の服用は接種見合わせの対象としません。
ただし、これらの基準はあくまで原則であり個々の対応については接種前の問診および診察所見により担当医の判断を優先とします。
 
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Q8 家族がいろいろなウイルス性の病気にかかった場合は、ワクチンをうちたい本人はどのように対応したら良いでしょう?

 
家族や周囲の人が発病した場合は、病気の種類や流行の状況に応じて対応します。
 
 
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