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性教育について

[2019.07.29]

「万引き家族」を観ました。

描かれている一部にはJKビジネスとして秋葉原でも行われているようなことであり、小児科医として無力感を感じるところでもあります。

ちょうど、東京保険医新聞では埼玉医科大学産婦人科の高橋幸子先生による「思春期の子どもの性〰外部講師として学校の性教育に関わって」という記事がありました。

一部を抜粋します。

 

 

子どもたちが触れる性の情報は間違いにあふれている

現代の子どもたちを取り巻く環境は、私たちが子どもの頃とは一変しています。思春期の子どもたち性に関わるワードに興味関心を抱くのは、今も昔も変わりません。私たちの時代は、そんな言葉を辞書で引き、こっそり知識を蓄えたものでした。

 しかし、今の子どもたちが性に関するワードをネットで検索すると一つの単語から関連するワードや、動画などにつながってしまいます。性に関する歪んだ情報は10歳くらいからはいってきます。性的な動画の中には女性を乱暴に扱い、最初は嫌がっていても最終的には喜んでいるような「いやよいやよもスキのうち」といった表現があふれており、子どもたちはそれをお手本にしがちです。「アダルトビデオは妄想の産物で、性の教科書ではない」ということをあらかじめ学ぶ必要があります。

 正しい知識を先に与え、入ってくる情報が正しいのかどうかを見極める力を育むことも性教育の一つです。世界の性教育のスタンダードであるユネスコの「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」に沿った性教育が行われるべきです。

~中略~

学校での性教育に期待しきれない

では、学校での性教育はどうなっているのでしょうか。学習指導要綱では、小4保健で初経、精通。小5理科で妊娠を扱います。中1保健で二次性徴、中3保健で性感染症とその予防にコンドームという言葉は出てきますが、問題は性交については扱わないということです。性交は「性的接触」という言葉で表現され、具体的な内容については触れません。「性交について触れずに性感染症の予防にコンドームを教える」という無理難題が、現場の先生方には課されています。

 さらに2003年に起きた七生養護学校事件をご存知の方もいらっしゃるでしょうか。現在は特別支援学校と呼ばれている施設ですが、知的障害のあるお子さんに対して行われていた性教育に対するバッシングが起こりました。パンツの下には男女ともに性器がきちんと表現されている、等身大の人形を使って性教育が行われ「自分の体を触るって気持ちがいいことだね。いけないことじゃない、恥ずかしいことじゃない、でも人前ではしません」ということを繰り返し、ポジティブに伝えていた性教育の現場に、東京都の都議会議員や教育委員会がのりこんできて、行き過ぎた性教育だとバッシングし、教材を没収しました。その流れで国会でも積極的な性教育が批判され、2013年に七生養護学校側が最高裁で勝訴(都議会議員に対する名誉毀損)するまでの10年間、東京都では全くと言っていいほど、性教育が行えない環境になってしまいました。

 その後、2018年3月にふたたび性教育バッシングが起こりましたが、2003年の頃とは異なり、都議会の中で性教育反対に賛同する議員は他に一人もいなかったとのことです。そして、2019年3月に東京都の性教育の手引きが改訂されました

 今回画期的だったのは、「学習指導要領の範囲を超える部分を産婦人科医師などの専門家による外部講師を活用してすべての中学校で性教育を行う」という方針が出されたことです。外部講師を迎えるまでに、性感染症などについて学校側でしっかりと教えておく必要があるということですから、これはとても大きな進歩なのです。東京都のこの方針転換が、全国に及ぼす影響は計り知れません。根本的には教員が指導できるような学習指導要領の改訂が必要です。

 

引用終わり

 

性教育に関する書籍保護者向け性教育サイト「命育めいいく」にて紹介しています。

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