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留守番をする子どもの安全をまもるためにできること

[2020.03.16]

自分の子どもらはすっかり大きくなって手が離れてしまった小児科医の杉原です。

2020年3月13日  日本小児科学会 こどもの生活環境改善委員会  より。

子どもだけの留守番について
 新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、現在、休校の措置を採っている自治体も多く見られます。今回の措置により、子どもだけで留守番させなければならないご家庭も少なくないと思われます。保護者が不在の中、子どもだけで留守番をしなければならないという状況には、危険が多く潜んでいます。子どもだけで留守番をさせる際の安全対策をまとめました。子どもにとって安全なだけでなく、家族全体にとっても不安や負担の少ない環境づくりができるよう願っています。

 

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キッチン

食事はお弁当などを用意しましょう

 子どもだけで火を扱うのは危険です。普段からガスコンロを使用する子どもであっても、子どもだけでは万が一の際に対応できず生死に関わる事態になる危険性があります。ガスコンロの元栓は閉めておき、IHクッキングヒーターでの調理もしない方が良いでしょう。食事はお弁当など、あらかじめ子どもが調理しなくても良いものを用意しましょう。

電子レンジの正しい使い方を練習しておきましょう

 アルミホイルや金属の入れ物に入ったレトルト食品を電子レンジで温めると、発煙や発火の危険性があります。また卵やエビ・栗など殻がついたものを電子レンジで加熱しすぎると爆発することがあります。保護者の不在時に子どもだけで電子レンジを使用することが予想される場合は、あらかじめ食品を容器に入れておき、すぐに加温できる状態にしておくと良いでしょう。また電子レンジの正しい使い方を練習しておきましょう。

電気ケトルはお湯を抜いて収納しておきましょう

 電気ケトルが転倒することによる熱傷(Injury Alert No.028)は主に乳幼児に多く発生していますが、もちろん学童でも起こり得ます。また、本来の用途として正しく使用していても熱傷を負う危険性があることも事実です。子どもだけで熱湯を扱うことは危険なので、留守番中は「使用しない」約束にするのが望ましいでしょう。保護者が留守にする間は、電気ケトルのお湯を抜いて子どもの手の届かないところに収納しておくことを徹底できれば、なお安心です。

包丁やジューサーなどの刃物は手の届かない場所に収納しておきましょう

 ジューサーで指挫傷を起こした事例(Injury Alert No.046)があります。キッチンは危険なものが多数ありますので、危険と思われる刃物類は手の届かない場所に収納しておく、もしくはチャイルドロック式の包丁スタンドに収納するようにしましょう。

浴室・洗面所

留守番中に一人でお風呂に入らないように約束しましょう。また浴槽の水は空にしておきましょう

 学童期の子どもでも浴槽内での溺水による死亡事故が報告されています。留守番中に子どもだけで入浴することは避け、あらかじめ浴槽の水は抜いておくようにしましょう。

ドラム式洗濯機はチャイルドロックをしましょう

 子どもは好奇心や遊び心で狭いところに入ろうとします。過去にも7歳の男児が密閉されたドラム式洗濯機の中に入り、窒息により死亡した事故が報告されています。

洗剤やワックス類は手の届かないところに収納しておきましょう

 液体洗剤の誤飲(Injury Alert No.050)は乳幼児に多く発生していますが、別容器に移し替えた場合には、学童期の子どもでも誤飲してしまう可能性があります。一回分パックタイプの液体洗剤は一見お菓子のように見え、お菓子と間違えて誤飲する危険もあります。また、洗剤やワックスはその配合によって致死的なガスが発生することもあり、極めて危険です。必ず手の届かないところに収納しておきましょう。

リビング・子ども部屋

家具を固定しましょう

 特にタンスやテレビなど重量のある家具が転倒して子どもが下敷きになってしまうと非常に危険です。子どもがぶつかったりよじ登ったりしても倒れないよう、壁や台にしっかりと固定しておきましょう。すでに実践されているご家庭でも、緩みがないか、今一度確認してみてください。

二段ベッドやロフトからの転落を防ぐ対策を考えましょう

 現代の日本では、二段ベッドやロフトが設置されている家も少なくありません。ロフトやその階段からの転落し頭に大けがを負った事例(Injury Alert No.069)の報告もあります。普段は子どもだけで登り降りしているというご家庭でも、はしごや階段に手すりや隙間を塞ぐネットをつける、もし可動式・収納式のはしごであれば、留守にする間は撤去して、子どもだけで昇り降りしない約束を決める、などの対策を講じましょう。

留守番中の遊び方に約束事を決め、危険なものは片付けておきましょう

 小学生ともなればある程度物事の分別がつくとはいえ、興味本位による製品の誤使用が危険に繋がることもあります。強力マグネット磁石が両鼻に入って取れなくなる事例(Injury Alert No.078)、ドライアイスを充填したペットボトルの破裂による手の怪我(Injury Alert No.084)などが学童期の傷害事例として挙げられます。この他、鋭利な刃物、アイロン、ライターなども子どもだけで使用させるのは危険です。危険性を親子で共有して遊び方に約束事を決め、危険なものは「与えない」・「手の届かないところに収納しておく」ことを徹底しましょう。また、誤飲や窒息の危険性も乳幼児に限ったことではありません。窒息の原因として、玩具ではスーパーボール、食品ではガムボール(Injury Alert No.003, 011)、こんにゃくゼリーでの発生例があります。これらは留守番をする子どもに与えないようにしましょう。

ベランダ

ベランダに通じる窓を確実に施錠しましょう

 空き巣への防犯対策のために、確実な施錠が重要です。高窓や小窓からも侵入されるケースがありますので、出かける前に家中の窓の施錠を徹底しましょう。また施錠することで、ベランダから子どもが転落する事故を防ぐことにも繋がります。窓の確実な施錠方法として、子どもの手が届かない高い位置に補助錠等を設置して二重ロックにするのが望ましいです。

足場となりそうなものはベランダから撤去しましょう

 子どもがベランダの柵を乗り越えて墜落するという事故が報告されています。ベランダ柵の付近にある室外機、植木鉢、ゴミ箱など、足場となりそうなものはすべて撤去しましょう。室外機の位置が変えられない、また柵自体に足掛かりとなるような隙間がある場合などは、斜めの板やアクリル板などを利用してよじ登れないようにしたり、転落防止ネットを設置したりすることも有効です。

玄関

玄関の施錠は入念にしましょう

 留守番をするときには防犯対策も重要です。玄関ドアはできるだけ鍵を2つ以上つけて二重ロックにし、留守番の時にはドアチェーンもかけることを習慣づけると良いです。勝手口や窓の鍵も、防犯性に優れた最新型のものに変えても良いかもしれません。

来客への応対ルールを決めて練習しておきましょう

 留守番中は来客があっても対応しない、絶対に扉を開けないようにするのが安全です。「水漏れで今すぐ修理が必要」といった緊急性を訴えられたり、「どうしても荷物を受け取って欲しい」などと強い言葉でドアを開けられるように迫られたりすることがあります。そのときにはすぐに保護者に連絡するように約束しておきましょう。

その他

子どもと連絡が取れるようにしておきましょう

 予想しないトラブルが起きた時のために、普段からその際の対応について子どもと話をしておくことや、紙に対応策を書いて貼っておくと良いでしょう。また、保護者と子ども、双方から容易に連絡を取れるようにしておくことも重要です。またお互いに顔を見ながら通話できるよう、ビデオ通話の方法を練習しておくと良いです。

保護者の代理を探してみましょう

 留守番させるのではなく、子どもの面倒をみてくれる人を探すのも一案です。身内や友人に頼めれば一番良いかもしれませんが、キッズシッターサービスを使う方法もあります。2015年に厚生労働省から「子どもの預かりサービスのマッチングサイトに係るガイドライン」が制定され、以前よりも質が担保されつつありますので、利用してみても良いかもしれません。

一般家庭への啓発となるホームページやコンテンツ

① Safe Kids Japan「事故事例と対策」
https://safekidsjapan.org/share/

② 消費者庁 子どもを事故から守る!事故防止ポータル
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/child/

③ 国民生活センター 子どもサポート情報
http://www.kokusen.go.jp/mimamori/kmj_mglist.html

④ 日本小児科学会 こどもの救急(こどもの応急処置についての情報サイト)
http://kodomo-qq.jp

⑤ 厚生労働省「子どもの預かりサービスのマッチングサイトに係るガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11907000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Hoikuka/0000087718.pdf

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