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製薬マネーデータベース=医師がいくら製薬会社からもらっているか

[2019.07.27]

 

どこからが癒着でどこからが、頼まれた仕事なのか。李下に冠を正さず、という言葉がある。

僕自身は、今でこそ製薬会社の名前がはいったボールペンなどは使うことがないように意識しているが、大学病院勤務時代は当たり前のように使っていたという既往もある。

 

転載OKということなので。下記の記事を。

◆今年も絶賛作成中

製薬マネーデータベースを、2016年度版に続き2017年度版も作成中です。ワセクロと医療ガバナンス研究所のメンバーが目を充血させながら、パソコンやプリントアウトした紙とにらめっこする日々です。

9月下旬にはドイツのハンブルグで、世界中からジャーナリスト1500人が参加し「世界探査ジャーナリズムネットワーク」(GIJN)の大会が開かれます。ワセクロは、医療ガバナンス研究所の谷本哲也医師と共に製薬マネーデータベースについて発表します。非営利のジャーナリズム組織であるアメリカの「プロパブリカ」やドイツの「コレクティヴ」に続き、ついに日本でもデータベースができたということで今から注目されています。製薬会社と医師との関係は、世界中例外なく関心事です。2016年度版だけではなく、これからも作り続けて経年比較ができるようにするのだと宣言してくるつもりです。

データベースを作る費用は500万円を見込んでいます。「ボランティア労働」ではなくちゃんと人件費を出し、サイトの構築費なども見込むとそれくらいはかかります。
そこでクラウドファンディングを医療ガバナンス研究所と共同で実施しているのですが、とても苦戦しております。残り2ヶ月で450万円のご支援をいただく必要があります。何卒、ご協力をよろしくお願いいたします!

https://motion-gallery.net/projects/money-database

◆情報量の少ない患者の一助に

病気をすると気が弱くなったり不安になったります。しかも医師と患者とでは、持っている情報量に圧倒的な差があります。自分の母親が病院にかかって大量の薬をもらって帰ったとき、本当に必要なのか?と不思議に思いましたが、本人は医師の言うことを素直に聞くしかありません。

そんな時「かかりつけ医が、処方している薬の製薬会社からどれくらい報酬を得ているか患者側が調べられたらいいな」と感じたのが、データベースを作ろうと思った動機です。
もし多額をもらっていたら、本当にその薬が自分にとってベストなのか医師に聞いてみるといいと思います。報酬を得ること自体は問題ではないので糾弾する必要はないですが、患者の側が情報を持つことが大切です。これまでにない医師とのコミュニケーションを取れるようになります。もちろん、面と向かっては言えないという人も多いでしょう。その場合は、他の病院に行ってみて自分の薬について相談するのもいいと思います

さらに、研究者やジャーナリストがデータベースを使って分析することで、患者に有益な情報を提供できます。
かかりつけ医が多額の報酬をもらっていなかったとしても、その医師が影響を受けている医師「KOL」(キーオピニオンリーダー)が多額の報酬を得ていたら、処方が歪む可能性が出てきます。その辺りを明るみに出すのは、ジャーナリストや研究者の仕事です。実際、ワセクロ以外にも2016年度版のデータベースを使って、週刊東洋経済、東京新聞、毎日新聞が大々的に記事を出しました。医療ガバナンス研究所の医師たちは、次々に論文を発表しました。谷本医師は「知ってはいけない薬のカラクリ」(小学館新書)を出しました。

全ては、患者の役に立つためです。若者も今は関係ないと思っている人が多いでしょうが、いつかは病気をします。不摂生しても大丈夫だと若い時に慢心していた私は、40歳で痛風になりました。
社会の公共財として、この製薬マネーデータベースを共に育てていければこんなに嬉しいことはありません。ぜひ、ご協力をお願いいたします。
以下は製薬マネーデータベースのサイトのトップ画面に載せている文章です。早く検索したくて、読んでない方がほとんどのようですが、ぜひご一読ください。

◆患者とその家族、友人のみなさまへ◆

かかりつけ医がいつも処方している薬は、効果と安全性の面で自分にとって最良なのだろうか。著名な医師が薬や病気についてメディアで語る内容は信じられるのだろうかーー。
そんな疑問を持ったことはありませんか。
米国では、製薬会社から医師への2,000円ほどの飲食の提供で、その医師の処方が変わるという研究もあります。医師による薬の処方やメディアでの発信を監視するには、医師と製薬会社との利害関係を「透明化」することが重要です。

ジャーナリズムNGOのワセダクロニクルと特定非営利活動法人の医療ガバナンス研究所は、製薬会社から医師個人に支払われた金銭を誰もが調べられるデータベースを作成しました。土台になったのは、製薬会社が自らのホームページで公開しているデータです。全社のデータが出揃っている最新の2016年度版です。このデータベースを私たちは「マネーデータベース『製薬会社と医師』」と名付けました。

みなさんへの適切な薬の処方に役立つことを私たちは期待し、このデータベースを公開します。
私たちは探査報道「製薬マネーと医師」を開始した際、以下のような問いかけを読者のみなさんにしました。このデータベースを公開するに当たってもう一度これを紹介します。

薬害HIVの被害者である花井十伍さんに話をうかがったことがあります。
血友病患者に投与された非加熱製剤が問題になる前のことです。血友病の子どもたち、親、医師らが、その非加熱製剤を扱っている製薬会社のサポートで、治療法を学ぶキャンプがありました。参加者の中にはその後、エイズで亡くなった少年もいました。
一緒に参加した医師は「医師も製薬会社も頑張ったのに、なんでこんなことになったんだろう」と振り返ったそうです。
花井さんはこう思ったそうです。

ーー「みんな頑張った」じゃなくて、薬害エイズは防げたんだ。誰かが処方したから薬害になったんだ。「国が薬を安全だと言った」と言い訳する医者がいるが、それなら処方権を放棄しろといいたい。?(2018年6月1日「シリーズ『製薬マネーと医師』を始めます」) 
私たちが「マネーデータベース『製薬会社と医師』」を公開するのも、医師は患者のことを第一に考える存在であってほしいと願うからです。医師は産業の歯車ではありません。製薬会社は医師との利害関係を透明化した上で、患者さんの命と健康を守る薬を売ってほしい。そして、患者のみなさんがこのデータベースを利用し、当事者として適切な治療が行われているかどうかに目を向けてください。これがこのデータベース公開の目的です。

医師が、金銭の支払いを受けた製薬会社の薬の処方を優遇することはないかーー。この疑問を解消するためには、情報の透明化を進めるしかありません。
製薬会社の売り上げの約9割は、医師の処方箋が必要な「医療用医薬品」です。製薬会社が利益を増やすには、医師に処方箋を書いてもらう必要があります。薬を「消費」するのは患者でも、製薬会社にとっての「顧客」は医師という関係性があります。
実際、製薬会社は医師個人に様々な形で金銭を支払っています。

薬や疾患の解説をする「講師謝金」、製薬企業のパンフレットなどに載せる「原稿料」、新薬開発のアドバイスなどをする「コンサルタント料」がそれにあたります。 厚生労働省は、新薬を審査する医師に対して、製薬会社からの支払いが公正な審査に影響を与えることを避けるため、以下の規定を設けています。
(1)過去3年のうち審議に関係する製薬会社1社からの受取額が年間500万円を超える年度がある場合は審議に参加できない? 
(2)審議に関係する製薬会社1社からの受取額が、年間50万円を超える年度がある場合は議決に参加できない

医師が製薬会社からいくらの金銭を受領したのかをすでにデータベースとして公開している国があります。米国とドイツです。
米国では、製薬会社から医師への10ドル以上の支払いは、医師の個人名とともに情報公開することが2013年から法律で義務付けられました。すでに公的機関やジャーナリズム組織が、製薬会社から医師への支払い情報のデータベースを公開しています。ドイツでもジャーナリズム組織がデータベースを公開しています。

日本ではこうしたデータベースがありませんでした。このため、特定の医師が受け取った金銭を製薬会社間で比べることができません。10社から合計で1000万円受け取るのと、1社から1000万円受け取るのとでは利害関係の強さがまるで違うのに、比較ができないのです。
日本学術会議は2014年3月、製薬会社でつくる日本製薬工業協会(製薬協)に対して、データベースを作成するよう提言しました。医師が薬を処方する権限を持ち、人の命と健康を左右する公人である以上、当然の提言だと思います。

しかし製薬協はデータベースを作成していません。厚生労働省など公的機関もデータベースを持っていません。
私たちは自らの手でデータベースをつくることにしました。
製薬各社のホームページには、データを取り込みにくくする障壁があり、作業は困難を極めました。作成には3000時間超を要しました。
このデータベースは、医療現場の透明化を大きく前進させることでしょう。
上に述べた公開の趣旨と目的を踏まえ、このデータベースが適切に利用されることを希望します。

ワセダクロニクル
医療ガバナンス研究所

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MRIC by 医療ガバナンス学会 http://medg.jp
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