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お子さんにも新型コロナウイルスワクチンを受けさせてあげましょう

[2022.10.31]

お子さんにも新型コロナウイルスワクチンを受けさせてあげましょう
~ お子さんの重症例や死亡例が増えています ~


2022 年 10 月 14 日
東京小児科医会

本年8月に日本小児科医会公衆衛生委員会と日本小児科学会はそれぞれお子さんへの新型コロナワクチン接種についてのメッセージを発信しました。


・お子さんへの新型コロナワクチン接種を迷っている保護者の方へ - ブログ (jpaweb.org)
・5~17 歳の小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方 (2022 年 8 月10 日、9 月 19 日改定) 新型コロナワクチン~子どもならびに子どもに接する成人への接種に対する考え方~|公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY(jpeds.or.jp)

これは最前線で新型コロナウイルス感染症に向き合って診断・治療してきた私たち小児科医の思いを伝えるメッセージです。


お子さんの新型コロナウイルス感染症の多くは軽症ですが、今年になって流行したオミクロン株の流行後は小児の感染例が増加し、重症例、死亡例も報告されるようになりました。


国立感染症研究所が発表した 20 歳未満の死亡例は 2022 年8月 31 日時点で、計41 例 でした。

このうち明らかな内因性死亡 (外傷を除く疾病による死亡)例は 29 例[年齢内訳:0 歳 8 例 (28%)、1~4 歳 6 例 (21%)、5~11 歳 12 例 (41%)、12-19歳 3 例 (10%)で性別は、男児 16 例 (55%)、女児 13 例 (45%)]でした。

ワクチン接種が可能なはずの 5 歳以上のお子さんの死亡例にはワクチン未接種のお子さんが多く含まれていました。また基礎疾患の存在については、あり 18 例(44%)、なし 17 例(41%)、不明 6 例(15%)であり、基礎疾患のあるお子さんだけではなく、健康と考えられていたお子さんたちも一定数含まれていることが判明しました。(2022 年9月15日)

https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2559-cfeir/11480-20-2022-8-31.html

10 歳未満の死亡例について検討しますと、昨年までは死亡例は 0 でしたが、今年の3 月に 3 例の報告があり、その後 19 例が報告され、オミクロン株の BA5 に置き換わったと考えられる 7 月からの約 2 か月で 12 例が亡くなっています (図1)。


図1 10歳未満の新型コロナウイルス感染症死亡数の推移
(NPO 法人「VPD を知って子どもを守ろうの会」より許可を得て転載)

保護者の中には、ご自身の接種の際の高熱や疼痛体験などのために、お子さんへの接種をためらう方がいらっしゃるようですが、子どもたちへの新型コロナワクチン (mRNA ワクチン)接種の副反応は軽微で、それも極めて稀であることが明らかになってきました。


mRNA ワクチンは新型コロナウイルスの持つ遺伝情報 (設計図)のごく一部を用いたものが使われており、ヒトの DNA には取り込まれません。またmRNA は接種後数分か
ら数日といった時間の経過とともに分解されるので、その情報が長期に残ったり、精子や卵子の遺伝情報に取り込まれることはないと考えられています。
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0008.html


子どもがワクチンを受けて起こる反応は、感染すれば起こりうる症状の軽微なもので、安全性に重大な懸念はないとされています。
他方、新型コロナウイルスに感染した場合にはワクチンを受けたときよりもより強い症状や多彩な症状が起こりうるので、ワクチン接種に伴う副反応よりも感染した場合の症
状と身体への長期的な影響や生命への危険の方がより懸念されます(図2)。


図2 新型コロナウイルスの感染とmRNA ワクチン
(近畿大学医学部免疫学宮澤正顯教授より提供)

2022 年 8 月までの報告では、12 歳未満のお子さんについて現在流行中のオミクロン株の発症予防効果は決して強くはありませんが、それでも “重症化予防効果”は 40
~80% 程度期待できるとされています。


米国、欧州のいくつかの国では、今まで多くの感染者と犠牲者を出しながら集団免疫を獲得してきましたが、日本はワクチン接種率も十分とは言えず、今後の感染拡大
を抑制できるほど集団免疫が高まってはいません。


一方、この 2 シーズン経験しなかったインフルエンザは南半球の国々ではすでに流行しており、この冬は日本でも流行が予測されています。
さらに RS ウイルスやヒトメタニューモウイルスなど乳幼児が感染しやすい呼吸器感染症も流行中です。これらの感染症が同時流行すれば、保護者はもちろん医療の逼迫
は必至で、助けられる命も助けられなくなる事態が起きることは容易に想像できます。

2022 年 10 月7日には罹患すると生命への危険リスクが更に高くなると指摘される生後 6 か月~4 歳児への接種も5歳以上のお子さんと同様の扱いで承認されました。
(厚生労働省 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会)


お子さんの周囲の方の新型コロナワクチン接種 (3回目・4 回目)はもちろんですが、有効な治療法のないお子さんたちの命を守り、健康的な元の生活に戻すためにも子
どもたちにも新型コロナワクチンをぜひ受けさせてあげてください。


『関連情報』
日本の小児の新型コロナウイルス感染症(第1波からオミクロン株まで)の論考
https://www.covid19-jma-medical-expert-meeting.jp/topic/11851

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