メニュー

尿路結石について

尿路結石とは

腎臓で濾過された尿は、尿管を通過し膀胱へ溜められ、尿道を通って排泄されます。
この腎臓~膀胱~尿道の間にできる結石を、尿路結石と言います。

小さな結石が腎臓にできても無症状な場合がほとんどですが、これが腎臓から流れ出て途中で詰まってしまうと、わき腹~下腹部などの激しい痛み、嘔吐、血尿などの症状が出現することになります。

小さな結石であれば自然に排出期待することが可能ですが、大きさによっては積極的な処置を行い結石を排泄させることが必要になる場合もあります。

尿路結石の原因と症状

尿路結石の歴史は古く、約7000年前の古代エジプトのミイラの中からも見つかっています。
結石の主な成分はカルシウムですが、これにはシュウ酸カルシウムとリン酸カルシウムがあり、この2つで尿路結石の80%以上を占めます。
この他には、痛風の原因ともなる尿酸や、ある種のアミノ酸(シスチン)や、尿に細菌が入って感染を起こした時(腎
盂腎炎)にできやすいリン酸マグネシウムアンモニウムなどがあります。

尿路結石の約60%は原因不明の特発性結石症です。
特発性結石に関しては、生活習慣などとの関連が言われています。1~2%が遺伝性、残り20~40%が何らかの原因疾患があって結石ができます。
原因疾患としては尿の流れを停滞させるような病気や尿路感染、長期寝たきりの状態などのほか、ホルモンの影響で結石ができる場合もありま
す。

この内で特に重要なのが原発性副甲状腺機能亢進症です。成人の尿路結石症の2~5%はこの病気が原因です。逆にこの病気の約半数は尿路結石症を合併しています。尿路結石を作らなくても、骨がもろくなったり、胃潰瘍や膵炎になったりといろいろな合併症がでてきます。

尿路結石の主な症状は強い痛みと血尿です。
疼痛は結石が尿の流れを塞ぎ、腎臓の中の圧が上昇するため起こります。突然に疼痛発作といわれる激痛をおこします。
わき腹から背中にかけて、間欠的にまたは持続的に痛みます。時に、下腹部にも痛みが放散します。吐き気や嘔吐を伴うこともあります。血尿をみることも多く、痛みの発作に伴って見られます。

結石が膀胱の近くまで降りてきた場合は、排尿痛、頻尿、残尿感などの膀胱刺激症状をおこします。細菌感染を合併すると、高熱を出し、尿が濁ります。また、膀胱結石が尿の出口を塞ぎ、尿道に結石が詰まった時には尿が出せなくなります。

しかし、結石があっても全く無症状の場合もあります。気がつかないうちに徐々に腎臓の機能が悪化してしまうこともあるので、注意が必要です。
特に両側の尿管結石では腎臓からの尿の流れが詰まって、尿が全く出なくなり急速に腎機能障害が進行することがありますので、尿量のチェックも重要です。

尿路結石の診断と検査

尿路結石の診断は、問診、尿検査、血液検査、画像診断などをおこないます。

尿検査では血尿や尿路感染症の有無を調べます。血尿は肉眼でわかる場合もありますが、多くは顕微鏡で検査してわかる程度の血尿(顕微鏡的血尿)です。

画像診断はX線検査、腹部超音波検査、コンピュータ断層撮影(CT)などで結石の部位、大きさ、腎臓の形や機能がわかります。
多くの結石は腹部単純X線検査(KUB)で診断できますが、レントゲンに写りにくい結石(尿酸結石、シスチン結石)の場合は経静脈性尿路造影、逆行性腎盂尿管造影やCT検査を行うことがあります。

腹部超音波検査は最も体に負担のない検査法です。X線検査で診断できない小さな腎結石や尿酸結石などのレントゲンに写らない結石の診断に有用です。また尿の流れが滞るために生じる水腎症の有無もわかります。

尿路結石の治療と再発の予防

尿路結石の治療

激痛や血尿を来たす尿路結石ですが、10mm以下の小さな結石はその約2/3が、症状発現後4週間以内に自然排石されます。水分摂取と、結石排出を促進する薬を処方されることが多いです。痛みに対しては鎮痛剤で対処します。カルシウムを含む結石を溶かすことは困難です。

そして、大きさが10mm以上で自然排石が難しい結石や、10mm以下でも1か月以上自然排石されない尿管結石については、腎機能障害や感染症を併発しないよう、積極的な結石除去治療の介入をしていくことになります。

今回はESWL(体外衝撃波破砕術)、TUL(経尿道的結石破砕術)、PNL(経皮的結石破砕術)などの治療法があります。

参考:尿管結石について

尿路結石の予防

尿路結石が5年以内に再発する確率は約45%と言われており、食事療法による予防が重要となります。近年、尿路結石の罹患率や再発率は上昇傾向にありますが、この最大の原因は、生活習慣・食生活の欧米化によると考えられています。

結石患者さんの特徴として、

  1. 肥満傾向
  2. 運動不足
  3. 総タンパク質・動物性タンパク質・脂肪の摂取過多
  4. カルシウムや牛乳摂取頻度の低下
  5. 野菜・海藻類の摂取頻度低下
  6. 甘味飲料・清涼飲料水の摂取頻度が高い
  7. 夕食中心の食生活(特に動物性タンパク質の摂取)
  8. 夕食から就寝までの時間が短い

が挙げられており、罹患および再発予防のために、改善していくことが大切です。

具体的な予防法としては下記に示します。

十分な水分を摂る

水分をあまりとらない慢性的に脱水の状態では、尿が濃縮されて尿路結石ができやすくなります。食事以外に1日2L以上の水分補給をし、1日尿量を2L以上とすることで、結石再発リスクを61%に減少できるという報告もあります。とくに夏場の暑い時期や、入浴・運動後、夕食後の水分補給が大切です。

カルシウムを摂る

以前は、カルシウム結石の予防にはカルシウムを多量に摂らない方がいいと考えられていましたが、その後の研究で、結石患者さん達の方が、結石のない人達に比べて、摂取しているカルシウム量が有意に少ないということが報告されました。
カルシウムは腸管内でシュウ酸と結合してこれを便に排出させ、シュウ酸の吸収を抑制し、尿中シュウ酸排泄量を減らします。現在では、適量のカルシウム摂取(日本では1日600-800mg)を行うことが、再発予防になると考えられています。

クエン酸を摂る

クエン酸は、シュウ酸とカルシウム、リン酸とカルシウムが結合するのを抑制するため、カルシウム結石の予防に有効です。また尿中pHを上昇させ酸性尿を是正することから、尿酸結石、シスチン結石の予防にも有用です。
クエン酸は果物や野菜に多く含まれますが、摂り過ぎはシュウ酸を多く摂ることにもなりかねないのでそこは注意が必要です。

塩分や糖分を摂り過ぎない

塩分制限をすることで、尿中カルシウム排泄量が減少する効果があると報告されています。また、塩分を過量摂取すると、尿中クエン酸排泄量が減少してしまうという報告もあります。
糖分の摂り過ぎもまた、尿中のカルシウム排泄量が増加するとされています。

シュウ酸を摂り過ぎない

尿中に排泄されるシュウ酸は、カルシウム結石の最も重要な危険因子であり、この約70%は食事由来とされています。予防のためにはシュウ酸を多く含む食品の過剰摂取を控えることが大事です。
シュウ酸を多く含む食品には、ホウレンソウを筆頭に、キャベツ、ブロッコリー、タケノコ、意外なところではバナナ、玉露・抹茶・煎茶などのお茶、ココア、チョコレート、コーヒー、紅茶などがあります。これらの摂取量に気をつけ、摂り方の工夫をすることが重要になります。
シュウ酸は水溶性なので、ゆでて調理をしたり、カルシウムと一緒に摂取することで吸収を抑えることができます。ホウレンソウのおひたしにちりめんじゃこを加えたり、コーヒー・紅茶・ココアには牛乳を加える、という具合です。
また、野菜類は毎日食べるものは少ないかもしれませんが、コーヒー、紅茶、お茶は毎日飲む人が多く、注意が必要です。同じお茶の中でも麦茶やほうじ茶はシュウ酸含有量が少ないです。

プリン体の多く含まれる食品や飲料を摂り過ぎない

プリン体は体内で代謝されて尿酸となり、過剰に摂取すると高尿酸血症や酸性尿を引き起こします。
食品100gあたりプリン体が200㎎以上含まれるものを高プリン食といい、主に、肉類(レバーなど動物の内臓)、魚介類、干物などが挙げられます。これらを摂取しすぎないように、1日あたりプリン体の摂取量が400mgを超えないようにするのが望ましいとされています。
また、アルコール飲料は、特にビールにプリン体が多く含まれますが、プリン体の有無にかかわらずアルコール自体の代謝に関連して血清尿酸値を上昇させるので、種類を問わず過剰な摂取は慎むべきです。血清尿酸値への影響を最低限に保つ目安量は、1日あたり日本酒1合、ビール500ml、ウイスキー60ml程度とされています。

またワインは酸性食品ではなく、カルシウムやマグネシウム、カリウムが多く含まれており、ワイン摂取が結石発生を減少させたとする海外の報告もあるので、脱水にならないように気を付けて摂取すればよいかもしれません。

動物性の脂肪、タンパク質を摂り過ぎない

動物性脂肪を多く摂ると、腸内の脂肪酸が増えてカルシウムと結合するため、シュウ酸がカルシウムと結合できなくなり、このシュウ酸が吸収されて尿中へ排出され、結石ができやすくなります。また、動物性タンパク質が多いと、尿中尿酸が多くなり、結石ができやすくなります。

夕食を食べすぎない、寝る前に食事をしない

1日の必要栄養素の半分近くを夕食で摂取する夕食中心の食生活は、就寝後の尿中への結石形成促進物質(カルシウム、シュウ酸、尿酸など)の過剰排泄につながります。
また就寝中は水分が補給されないため、尿が濃縮されます。食後2-4時間でこの尿中結石形成促進物質の濃度がピークになるため、できれば夕食は、寝る4時間前までに済ませるのが理想的です。

人間ドックや健診の腹部超音波検査等で、腎結石や腎石灰化を指摘された方は少なくないと思いますが、くわしい食事指導を受けたことのある方はあまり多くないのではないかと思います。尿路結石と診断された方や再発が心配な方はお気軽に相談して下さい。

 

文責:宮内 隆政

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME