狂犬病ワクチン
世界の狂犬病発生状況
年間の死亡者数推計は59,000人(うち、アジア地域35,000人、アフリカ地域21,000人)とされ、年間の暴露後ワクチン接種者数推計は約1,500万人とされています。
現在において日本でも2006年に2名、2020年に1名の死亡者が発生するなどの報告があります。リスクのある国への渡航を検討されている方は、渡航前に狂犬病ワクチンを接種することをぜひご検討ください。
症状は不顕性感染(感染症状を示さない)から、重篤な合併症まではば広く、特に成人で発症した場合、高熱や発疹が長く続いたり、関節痛を認めるなど、小児より重症化することがあります。また、脳炎や血小板減少性紫斑病を合併するなど、入院加療を要することもあるため、決して軽視はできない病気です。
狂犬病ワクチンは取り寄せになりますので、ご希望の方はお電話にてお問い合わせください。
狂犬病とは
狂犬病予防法が制定される1950年以前、日本国内では多くの犬が狂犬病と診断され、ヒトも狂犬病に感染し死亡していました。このような状況のなか狂犬病予防法が施行され、犬の登録、予防注射、野犬等の抑留が徹底されるようになり、わずか7年という短期間のうちに狂犬病を撲滅するに至りました。この事例を見ても、犬の登録や予防注射が狂犬病予防にいかに重要な役割を果たすかが理解できます。
現在、日本では、犬などを含めて狂犬病の発生はありません。しかし狂犬病は、日本の周辺国を含む世界のほとんどの地域で依然として発生しており、日本は常に侵入の脅威に晒されていることから、万一の侵入に備えた対策が重要となっています。
狂犬病の症状と診断、治療と予防(ワクチン)について
病原体 |
感受性動物・感染経路 |
潜伏期 |
症状と診断 |
治療と予防 |
狂犬病 |
○感受性動物: 全ての哺乳類(ヒトを含む) ○感染経路: 狂犬病にかかった動物(罹患動物。アジアでは主にイヌ)に咬まれた部位から、唾液に含まれるウイルスが侵入。 通常、ヒトからヒトに感染することはなく、感染した患者から感染が拡大することはない。 |
1~3カ月間程度 |
(1) 臨床症状 ○前駆期:発熱、食欲不振、咬傷部位の痛みや掻痒感 ○急性神経症状期:不安感、恐水及び恐風症状、興奮性、麻痺、幻覚、精神錯乱などの神経症状 ○昏睡期:昏睡(呼吸障害によりほぼ100%が死亡) (2) 病原体診断 [1]PCR法による病原体の遺伝子の検出(唾液等) [2]蛍光抗体法(FA)によるウイルス抗原の検出(皮膚、角膜等) [3]間接蛍光抗体法(IFA)又はELISA法による抗ウイルス抗体の検出(脳脊髄液) [4]分離・同定による病原体の検出(唾液) |
○治療: 発症後の有効な治療法はない。 ○予防: 罹患動物に咬まれた場合、ワクチン接種等により行う。 海外の狂犬病発生国で頻繁に動物に接する場合には、渡航前に狂犬病ワクチンを接種しておくことが望ましい。 |
狂犬病ワクチンは取り寄せになりますので、ご希望の方はお電話にてお問い合わせください。