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手足口病について

手足口病とは

手足口病は文字通り、口腔粘膜および手や足などに現れる水疱性の発疹を主症状とした急性ウイルス感染症です。

5歳以下の幼児を中心に夏季に流行が見られる疾患(7月にピーク)で、2歳以下が大半を占めます。5歳以下が80%を占めますが、大人もまれに罹患します。

原因となるウイルスはエンテロウイルス属と呼ばれているウイルスの仲間であり、その中でもコクサッキーA16、エンテロウイルス71が主に手足口病を引き起こすウイルスとしてよく知られています。他にコクサッキーA9やコクサッキーA10なども原因ウイルスとなります。

これらのウイルスはアルコール消毒や熱に強いウイルスとして知られています。加えて、以前は主にヘルパンギーナの原因ウイルスとして認識されていたコクサッキーA6による手足口病が、近年は目立つようになってきています。

基本的に予後は良好な疾患ですが、急性髄膜炎の合併が時に見られ、稀ではありますが急性脳炎を生ずることもあります。なかでもエンテロウイルス71は、中枢神経系合併症の発生率が他のウイルスより高いことが知られています。

手足口病は一度かかれば免疫ができますが、原因となるウイルスは複数あるため別のウイルスが原因で再びかかることがあります。

主な感染経路は3つあります。
1つ目は感染している人のくしゃみや咳とともに、空気中に飛び出したウイルスを吸い込むことにより感染してしまう飛沫感染です。2つ目は感染者が触れたドアノブやスイッチに接触し、さらにその手で口や鼻を触ることにより体内にウイルスを取り込んでしまう接触感染です。そして3つ目は、感染者の乾燥した便の粒子を吸い込んでしまったり、おむつを取り替えた後に十分に手を洗わないまま顔を触ってしまったりすることで感染する糞便感染です。

手足口病の特徴と診断

従来のコクサッキーA16およびエンテロウイルス71による手足口病では、3~5日間の潜伏期間の後に、口腔粘膜、手掌、足底や足背などの四肢末端に2~3mmの水疱性発疹が出現してきます。発熱は約3分の1に認められますが、軽いもので高熱が続くことは通常はありません。また通常は3~7日の経過で軽快し、水疱の跡が痂皮(かさぶた)となることもありません。

このように手足口病は基本的には数日間の内に治癒する予後良好の疾患ですが、まれではあるものの髄膜炎を合併することがあり、非常に少ない例ですが、他に小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の合併症などのほか、心筋炎、急性弛緩性麻痺などの多彩な臨床症状を呈することもあります。特にエンテロウイルス71に感染した場合は、中枢神経系の合併症を引き起こす割合が高いことが明らかとなってきていますので注意が必要です。

一方、近年みられるようになったコクサッキーA6による手足口病では、水疱が5mm程度と大きく、四肢末端に限局せずに前腕部から上腕部、大腿部から殿部と広範囲に認められ、発熱も39を上回ることも珍しくなく、水痘との鑑別が困難な例もあります。

また、手足口病を発症して治癒した後に、1~2ヶ月のうちに手足の爪が脱落する場合があり、コクサッキーA6を原因とする手足口病の特徴となっています。

基本的に、診断は症状を目で見て行います。診断に検査は必須ではなく、症状と流行状況を鑑みて診断することが多いです。発疹の性状や、発疹が出ている箇所が診断の重要なポイントになってきます。

手足口病の治療

 特異的な治療法はなく、抗菌薬の投与は意味がありません。発疹に痒みなどを伴うことは稀ですが、痒みを伴う場合には抗ヒスタミン薬の塗布を行います。

通常、外用薬としての副腎皮質ステロイド剤は用いられません。口腔内病変を伴いますので、疼痛が強い場合には鎮痛薬で痛みを和らげるほか、粘膜保護剤の軟膏が処方されることがあります。

お食事は、乳幼児の場合は刺激にならないように柔らかめで薄味の食べ物が奨められますが、水分が不足(脱水)しないように、経口補水液などで水分を少量頻回に与えることのほうが重要です。時には脱水を防ぐために経静脈補液が必要となる場合もあります。

発熱に対しては、通常は解熱剤なしで経過観察が可能です。しかし、元気がない(ぐったりしている)、頭痛、嘔吐、高熱、2日以上続く発熱などの場合には髄膜炎、脳炎など中枢神経系の病変の合併に注意する必要があります。ステロイド剤の多用が症状を悪化させることが示唆されています。

ご家庭で気を付けていただきたいこと

保育園や幼稚園などの乳幼児施設においての流行時の感染予防は、手洗いの励行と排泄物の適正な処理が基本となります。
しかし、手足口病は主要症状が回復した後も比較的長期間に渡って児の便などからウイルスが排泄されることがあります。そのため、日常生活では排泄物の処理に十分注意をし、良く手を洗ったり、こまめに洗濯するようにすることが必要になります。

加えて流行時には無症状病原体保有者も相当数存在していると考えられるため、発症者のみを隔離したとしても、効果的な感染拡大防止策となるとは考え難いです。基本的には軽症疾患であることを踏まえ、回復した児に対して長期間の欠席を求めることも得策ではありません。

厚生労働省が出している“保育所における感染症対策ガイドライン”では、「発熱や口腔内の水疱の影響がなく、普段の食事が取れるようになる」ことが登園目安となっています。

文責:宮内 隆政

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