氷かじり
[2021.02.15]
院長の杉原です。
こんな人がいるのをご存知でしょうか?
「氷がだいすき」と思って毎日、ひそかに氷の塊をかじっている人がいるんです。ハリーポッターにでてくるようなネズミ人間というわけではありませんよ。
氷を無性にかじりたくなる、というのはある病気に特徴的な症状なんです。
そう、鉄欠乏性の貧血です。
医学部の教科書には異味症(異食症、異嗜症;PICA)と書かれています。
冷たいものが好き、なのではなく、氷のような硬い塊をカリカリとかじりたくなる奇妙な症状です。
昔の教科書には壁土を食べる、と書いてあったようですが、いまの家に壁土はありませんね。
患者さんも、まさか「自分の氷好き」と「鉄欠乏性貧血」が関係あるとは思ってもいません。
もし、氷が大好きだなあと思っている人がまわりにいたら、ぜひ貧血検査を相談してみるといいでしょう。
鉄剤の治療を開始して数日で症状は消えます。
おもしろい症状なのに、なぜこんな症状がでるかはいまだにわかっていないようです。