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マイコプラズマ肺炎がまたはやっています!!

[2024.08.17]

マイコプラズマ肺炎の歴史的な流行パターン

マイコプラズマ肺炎は、日本では昔から定期的に流行してきた病気です。特に1960年代から1970年代にかけて、仙台市で行われた大規模な調査では、1964年、1968年、1972年、1976年といったオリンピックの開催年に合わせたように、4年ごとに大流行が確認されました。このため、日本では「オリンピック病」としても知られるようになりました。

流行の周期性と原因

この病気は、だいたい3~7年ごとに大きな流行を起こすことが多く、これは日本だけでなく、世界中の調査でも報告されています。この周期的な流行の原因はまだ完全には解明されていませんが、おそらく、マイコプラズマという病原体と人間の集団免疫力との相互作用が関係していると考えられています。

具体的には、一度マイコプラズマ肺炎が流行すると、多くの人が感染し、感染しなかった人も免疫を持つようになります。しかし、この免疫は永遠に続くわけではなく、数年後には徐々に弱まります。その頃になると、免疫を持たない新しい世代が増え、再びマイコプラズマ肺炎が流行しやすくなるのです。

日本でのマイコプラズマ肺炎の監視と発生動向

日本では1981年から感染症の発生状況を追跡するための調査が始まりました。当初、マイコプラズマ肺炎は他の肺炎と一緒に「異型肺炎」として分類されていましたが、実際にはその多くがマイコプラズマ肺炎でした。この調査によって、1984年と1988年に大きな流行があったことが確認され、これもまたオリンピックの開催年と一致していました。

しかし、その後の1992年や1996年には大きな流行は見られず、4年ごとの流行パターンが崩れていきました。1999年からは、感染症法の改正により、マイコプラズマ肺炎が「5類感染症」に分類され、現在でも毎週全国の約500カ所の医療機関から患者数が報告されています。

最近の流行と新型コロナウイルスの影響

最近では、2006年、2010年、2011年、2012年、2015年、2016年に患者数が増加したことが報告されています。特に2011年、2012年、2016年には、調査開始以来の最も多い流行年となりました。しかし、2020年には4月までは報告数が多かったものの、5月以降は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で急激に減少しました。これは、マスクの着用や手洗いなどの感染対策が強化されたためと考えられます。

また、2020年から2022年の間には、毎年秋冬に見られる季節性の患者増加もほとんどなくなり、2023年末の時点でも報告数は少ない状況が続いています。

今後の懸念と対策

今後の懸念としては、新型コロナウイルスによってマイコプラズマ肺炎に対する集団免疫が低下している可能性があります。このため、近い将来、日本でも再び大きな流行が起こる可能性があります。現在、中国などではCOVID-19パンデミック後にマイコプラズマ肺炎が再び流行しているという報告もあり、日本でも引き続き注意が必要です。

これからも感染状況の監視を続け、流行の兆しが見られたら迅速に対応することが重要です。医療機関や保護者の皆さんも、引き続き感染症対策を徹底し、子どもたちの健康を守るために努めることが求められます。

 

 

国立感染研究所のHPを参照。

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