風邪ぐすりの謎
はじめて研修医になって、風邪に処方しろ、と上司(オーベン)に言われてとまどった。
いろいろな医学書を読んできたが、授業で風邪に処方する薬について学ぶチャンスがなかったからだ。
「バカだなあ、そんなこともしらないのか」
と言われ
アスベリン・ペリアクチン・ムコダイン
これを体重計算してだすんだよ。と言われた。
なるほど。
小児薬用量という本でしらべると、
アスベリンは鎮咳剤、
ペリアクチンは抗ヒスタミン剤、
ムコダインは去痰薬
だった。
そういうものか。若者は素直だ。まずはそれを繰り返した。
確かによくなる子どももいたが、改善しないものもいた。
そもそも、くすりをのんだー>治った->効いた のさんた論法 でいいのかな? のまなくたって、時間たてば治ったかもしれない。
そんな疑問がずっとあった。
咳だって、痰がからむもの・乾いた咳、連発するもの・単発のもの、痛いもの・痛くないもの、いろいろな種類がある。
それなのに、処方が1パターンしかないって、貧相じゃないかなと考えるようになった。
やがて、東洋医学のことを学ぶようになり、咳の区別化をきちんとして処方ができる技法が数千年前からあることを知った。
いろいろな咳に対して、1種類のパターンで対応する西洋医学よりも、何十種類の薬で対応するほうが柔軟性がある。よっぽど知性的である。
そう思うようになって僕は漢方を自分の処方にとりいれるようになったのでした。