鬼は外!福は内!
小児科医の杉原です。
さて今年も節分の季節になりました。
節分は季節の分け目という意味ですから、本当は春夏秋冬で季節がかわる立春、立夏、立秋、立冬の前日はすべて節分なのですが
なぜか現代では立春の前日2/3だけを節分とよんでいますね。
小児科医として、この節分の季節で豆まきにフォーカスしていきましょう。
ふつうの小児科ですと、豆まきの大豆アレルギーに注意しましょう、ピーナッツはアレルギーだけでなくのどをつまらせることがあるので注意しましょう、といったところにフォーカスをあてるかもしれません。
そういうのは散々やってきたので
今回は鬼について、フォーカスをあててみたいと思います。
鬼滅の刃にあやかったわけではありませんが、
鬼は外、というからには、鬼が内側に入ってくるかもしれない、あるいはすでに内側にいるかもしれないから、鬼は外へ、という声かけが必要なのでしょう。
その内側は家の内側というより、心の内側にあるかもしれない、という話をします。
私達の思考パターンは実際の出来事に対して、様々な反応パターンを示します。
子どもでもいろいろな性格の子どもがいます。
ゲームに夢中になって、強い敵をたおせないときに、怒りでもえる子もいれば、がっかりする子もいるし、あきらめてしまう子もいるでしょう。なかには、こんなの強すぎだよーとゲームの作り手を批判する子だっているかもしれません。
つまり
現状「ゲームの敵をたおせない」ー>「怒り」
現状「ゲームの敵をたおせない」ー>「がっかり」
現状「ゲームの敵をたおせない」ー>「あきらめ」
現状「ゲームの敵をたおせない」ー>「批判」
したりと子どもによって様々です。
なぜ人によって違うのでしょうか。
ABC理論を唱えた臨床心理学者アルバート・エリスによれば
A activating event 出来事
B belief 信念
C consequense 結果・反応
という構造が原因ということのようです。
今回の例でいうと、
A 出来事「ゲームの敵をたおせない」
C 反応「怒り」
のあいだに、Bがあるはず。そのBが違うから人によって、子どもによってCの結果・反応が違うということなのだそうです。
でもこのB信念は、アタマのなかでホンのわずかな囁きだったり、漫画でいうとモコモコした、発語ではない、アタマのなかの言葉として一瞬だけうかぶので本人には気が付きにくいですし周りの人にも見えません。
お子さんに説明するときに、つかってほしいのですが
実はアタマの中には怒り鬼、批判鬼、などがすんでおり、本人には気が付かれないように、本人の声で耳元でささやきます。
怒り鬼「ゆるせない」
批判鬼「ぼくにもできるようにすべき」
あきらめ鬼「どーせやってもムダムダムダーッ」
こうした鬼がいるとは気が付かないで鬼に支配されていると、どんどんネガティブな気持ちを鬼が吸い取ってますますその鬼が強くなっていきます。
鬼は1匹だけとは限りません。いろいろな場面でいろいろな鬼がでてきて子どもの耳元でささやきます。
もしこういう鬼がいるよ、とわかったら、教えてあげましょう。
節分じゃなくても、鬼は外!と追い出すことを教えてあげたり、
福は内、ともっとポジティブな思考をささやいてくれる「ささやき福の神」を招いてみましょう。
たとえば、「どうしたらの福の神」だったら、いつも工夫するアタマに導いてくれるでしょう。
A 出来事「ゲームの敵をたおせない」
B信念「どうしたらできるようになるのかな?」
C 反応「工夫してみよう」
心の中にすむ鬼を追い出し、福の神をいれていく、そんなチャンスは毎日あるのかもしれませんよ。