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赤ちゃんの健やかな成長のために!ビタミンD不足を防ぐための最新情報

[2025.03.26]

こんにちは!小児科専門医の杉原です。

今日は、日本小児科学会雑誌に掲載された「乳児期のビタミンD欠乏の予防に関する提言」というテーマについて、わかりやすく解説しますね。

今回の提言は、日本小児医療保健協議会栄養委員会という、順天堂大学の清水俊明特任教授が委員長を務める委員会からの報告です。この委員会には、23名もの専門家が名を連ねています。

清水俊明元教授には、開業してから順天堂大学の小児科で研修を3ヶ月程度受けさせていただいたおりに大変お世話になりました。

ビタミンDって何?

ビタミンDは、私たちの体の中でカルシウムやリンといった、骨や歯を作るのに大切な栄養素の吸収を助ける働きをしています。まるで、家を建てる時のセメントみたいなものですね。ビタミンDが不足すると、骨が弱くなってしまうことがあるんです。

赤ちゃんにとってのビタミンD

特に赤ちゃんは、これからどんどん骨を強くしていく時期なので、ビタミンDがとても大切です。母乳は赤ちゃんにとって最高の栄養源ですが、ビタミンDが十分に含まれていない場合があるんです。

冨本先生の研究

今回の提言の中で、冨本和彦先生という先生の研究がいくつか引用されていました。ぼくはこの先生の八戸市にあるクリニックへおじゃまして、勉強会に参加させてもらったことがあるので、嬉しくなりました。

  • 2018年の日本小児科学会雑誌(122巻 1683-1691)「北日本の一地域における母乳栄養児のビタミンD充足状態評価」では、完全母乳で育てている赤ちゃんに、1日に10μg(400IU)の天然型ビタミンDを補充することが、ビタミンD不足の改善に役立つという報告が紹介されていました。
  • 同じく、上記学会雑誌の「ビタミンD不足状態にある母乳栄養児における適切なビタミンD補充療法」という記事のなかで「北日本や日照時間が比較的少ない地域では、母乳栄養の赤ちゃんには予防的に全員にビタミンDを補充すべき」と述べていたことが紹介されていました。

今回の提言の内容

今回の提言では、理論的には天然型ビタミンD製剤の使用が適切であるとされています。しかし、日本では天然型ビタミンDを処方できない現状があるため、「国際基準に準じた天然型ビタミンD製剤による治療が日本でも可能となるための活動が必要である」という結論になっています。

ビタミンDはどうやって作られる?

実は、私たちの体の中のビタミンDの90%は、日光を浴びることで作られます。まるで、太陽光発電みたいですね。食事から摂れるビタミンDは、ほんの少しなんです。

日焼け止めについて

ここで少し、日焼け止めのお話をしますね。

白人の方は、皮膚がんを予防するために日焼け止めを使うことが推奨されていますが、私たち黄色人種である日本人は、そこまで神経質になる必要はないと考えられています。

もちろん、海や山など、長時間強い日差しを浴びるような状況では日焼け止めを使った方が良いですが、普段の生活では、お子さんに過度な日焼け止めを使うのは避けた方が良いでしょう。

ビタミンDを摂るには?

どうしてもビタミンD不足が気になる場合は、天然型ビタミンDを摂取するという方法があります。天然型ビタミンDは、推奨量の数倍量を3ヶ月以上使わない限り、中毒になることはほとんどありません。

活性型ビタミンDという別の種類のビタミンDがありますが、処方箋がだせるというメリットはあるものの、こちらは安全に使える量が狭いため、少し注意が必要です。

まとめ

今回の提言は、赤ちゃんのビタミンD不足を防ぐために、天然型ビタミンD製剤が日本でも使えるようになることが大切だということを示しています。

もし、お子さんのビタミンDについて心配なことがあれば、遠慮なく小児科医に相談してくださいね。

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