ワクチン接種の順番を意識すると
ワクチンの同時接種はもはや当たり前、といっていいだろう。
いまだに、個別接種する医師は小児科専門医の中にはさすがにいなくなった。
そして、ワクチンを同時接種するさいに順番まで僕はこだわっている。
同時接種の種類にもよるが
たとえば、1歳の5本同時接種がある。
この場合、真っ先にすべきなのはMRワクチン(麻しん・風しん)だと考えている。
もし、とちゅうで震災があって中断しなくてはならなくなったときでも最優先で重要なものを届けたい、という気持ちから順番を決めているからだ。
麻しんは死亡率も感染率もNo.1だ。治せる薬もない。
風しんは死亡率が低いものの、感染率は高く、いまなお問題になっている。先天性風疹症候群があるからだ。
この2つが同時に接種でき、なおかつ痛みが少ないというのがメリットであり、トップバッターにしている理由でもある。
次にうつのは、やはり治療薬のない、おたふくかぜワクチンにしている。数百名に一人は一生耳が聞こえなくなってしまう病気である。そのおそろしさは聴力を失った人たちの声をきいて考えてほしい。
その次はヒブワクチンにしている。死亡率抑制に関しては肺炎球菌ワクチンにおとるかもしれないが、だんだん痛みのないものから接種してあげたいからだ。
その次は水痘ワクチンでこれはまだ治療薬がある。この年令ではじめて接種することから優先している。
最後は肺炎球菌ワクチンで、この理由はもっとも痛いからだ。泣かない子は40人に一人程度しかいない。
どの月齢にせよ、意図があっての順番なのだ。