手足口病の流行について
[2024.07.04]
手足口病は、小さな子どもたちの間でよく見られるウイルス感染症です。例年、西日本から関西、関東へと流行が広がりますが、今年(2024年)は特に以下のような動きが見られます。
流行の概要
- 始まり: 今年は大分県や愛媛県から流行が始まりました。
- 拡大: 福井県から関西地方、そして関東地方へと感染が広がっています。
最新の感染状況
- 感染者数: 6月17日から23日までの1週間で約2万人の感染が報告されています。
- 警報基準: 感染が広がっている地域では警報基準値の5.00を超えており、特に
- 群馬県(9.04)
- 石川県、奈良県、鹿児島県(10.02)
- 滋賀県(10.36)
- 兵庫県(11.12)
- 三重県(16.36)
- などで高い感染率が確認されています。
病因ウイルス
感染研の集計によると、年ごとの病因ウイルスは以下の通りです。
- 2020年: コクサッキーウイルスA16型が約50%を占めました。
- 2021年: コクサッキーウイルスA6型が約70%を占めました。
- 2022年: コクサッキーウイルスA6型が約70%を占めました。
- 2023年: コクサッキーウイルスA16型が約20%、エンテロウイルス71型(Enterovirus 71)が約25%、コクサッキーウイルスA6型が約25%の割合でした。
- 2024年: 現在のところコクサッキーウイルスA6型が約60%を占めています。
診断と症状
- 診断の難しさ: 発熱当日に受診すると、口腔内の点状発赤(まだ水疱ができていない状態)しか見られず、ヘルパンギーナと誤診されることがあります。コクサッキーウイルスA6型(Coxsackievirus A6)の場合、この時点で肛門周囲に水疱が見られることもありますので、注意が必要です。
- 症状の進行: 通常、翌日には熱が下がり、口の周りや手首、足首、大腿部~臀部、肛門周辺に発疹が広がることがあります。発症後1~2か月して、「爪甲脱落」といって爪がはがれるケースも見られます。
流行の予測
- コクサッキーウイルスA6型の特徴: 古くはコクサッキーウイルスA6型はヘルパンギーナの病因とされていましたが、2011年以降は主に手足口病の原因となっています。隔年での流行傾向がありましたが、コロナ禍により感受性者が増えたため、今後は保育施設などで全年齢層において大規模な流行が予想されます。
まとめ
手足口病は特に子どもたちに多く見られる感染症で、地域によって流行の状況が異なります。
今年はコクサッキーウイルスA6型が主な原因となっており、保育施設などでの注意が必要です。感染が疑われる場合は、医師の診察を受け、適切な対応を行いましょう。