ことばの遅れ
こちらは日本小児科学会東京都地方会が作成した「こどもの健康週間2019」より抜粋、一部杉原が変更したものです。
こんにちは。小児科医の杉原です。
うちのこ、言葉が遅れているかも、という相談がよくあります。
ことばはどのように発達をするのですか?
赤ちゃんは
生後3ヶ月ごろにはしっかりと目でこちらの様子をおいかけて、笑いかけると笑顔を返してくれるようになり、アー、ウーといった喃語(なんご)が始まります。
生後6ヶ月以降には、喃語にバー、ブーなどの音が加わります。
1歳前には「だめ」と言われると、こちらの顔をみて動きをとめるようになります。言葉の理解がはじまったサインです。ベビーサインもこの頃から楽しめることになるでしょう。
1歳過ぎになると、意味のある言葉を初めて言えるようになり、ワンワン、パパ、ママ、マンマなどの言葉を言うようになります。
1歳6ヶ月の健康診断では、意味のある単語を数語言えるかどうかを確認しています。
またこのころには「ちょうだい」「おいで」などの指示も理解し、親子のあいだで簡単な言葉によるコミュニケーションが始まります。
2歳になると、使える単語の数が増えるだけではなく「まんま、たべる」のように単語をつないだ使い方ができるようになります。
ことばの発達は個人差があるものですか?
ことばの発達には個人差があります。
たとえば、こちらの言ったことはよく理解できており生活には困らないのですが、ことばがなかなかでてこない幼児もいます。
3歳ごろになり、急に話す単語の数が増えてきて、ほかのこども達に追いついてくる場合もあります。
ただ気になるようでしたらかかりつけの小児科の先生に相談してみましょう。
千代田区であれば さくらキッズ もあります。
言葉の発達の遅れにはどのような原因が考えられますか?
ことばの発達には耳がしっかりと聞こえていることが重要です。
多くのお子さんは新生児の時期に、聴覚スクリーニングテストを受けていると思います。母子手帳に貼ってあることが多いので確認してください。
ただ新生児期には正常でも、その後の中耳炎などで聴力が低下して脳へ刺激が入らず、ことばの発達に影響を及ぼすこともあります。
ですので、ことばが明らかに遅れている場合には、まず聴力検査をおこなって音が確実に聞こえているかを確認する必用があります。
発達性言語障害(言語症)は、ほかの面での発達の問題がないにも関わらず、ことばが遅れる場合です。
ことばの理解が良好な場合と、ことばの理解が難しい場合があります。
ただジェスチャーなどを通じた周囲の大人との間のコミュニケーションは良好です。
神経発達症(発達障害)の中で、自閉症スペクトラムのお子さんの多くは、言葉の遅れをともなっています。
こうしたお子さんは、ことばだけでなく視線があいにくい、ジェスチャーや身振りなどによるコミュニケーションにも課題があるのが特徴です。手のひらを自分に向けてバイバイしたりもします。
またことばの発達には幅広い認知機能(知能)の発達も必用です。知的な課題があるお子さんは、ことばの発達が遅れることもしばしばみられます。
そして、一番僕が多くみるパターンですと、メディア漬けで言葉がでてこないお子さんです。耳も異状なく、こちらの理解もできている。自閉傾向もなくて、知的課題もないお子さんの場合は
1ヶ月間、テレビ、スマホとの接触を完全に断ち切り、親子のあいだでの会話時間をとりもどすだけで発語がはじまることは珍しくありません。
言葉の遅れを心配した場合にどうしたら良いでしょう?
乳幼児との毎日のコミュニケーションがとても大切です。
ことばが遅れているお子さんも、親御さんとのコミュニケーションがうまくいかなくて困っているかもしれません。
もし気になることがあれば、かかりつけの小児科医や、地域の健康診断のときにご相談下さい。
何か原因がないかどうかを確認することも大事です。
また毎日の家庭でできることをアドバイスもらえるかもしれません。
個人的には平岩幹男先生の書籍は発達障害のあるなしに関係なく、子育てに必須なスキルが満載だと思っています。