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科学的根拠に基づく予防医療のすすめーワクチン編 子宮頸がんワクチン

[2020.01.18]

このワクチンが予防してくれるのは、子宮頸がん、膣がん、肛門がん、口腔咽頭がん、陰茎がん、です。

日本ではサーバリックス(二価)、ガーダシル(四価)がありますが米国だとガーダシル9(九価)のものがあります。

9歳から接種可能ですが、通常は11歳、12歳で接種します。

26歳未満の未接種者には全員ワクチン接種が薦められます。

27-45歳は相談に応じて。

医学用語ではShared-decision making と言います。

これはどういうことかと言うと、

医学的に選択肢が複数ある場合に、どの選択をするのか相談の余地がありますよ、ということです。

リスクが高い

治療の選択肢は1つ(高い確実性)

 

リスクが高い病気

治療の選択肢が複数(不確実性)

リスクは低い病気

治療の選択肢は1つ(高い確実性)

リスクは低い病気

治療の選択肢が複数(不確実性)

医学的に選択肢はもう、これしかないよね、というときには積極的におすすめする、という形になります。

 

日本においては中学1年から高校1年生の女性にだけ接種できることになっています。(男性にも効果あるのですが・・・)

法に基づく標準的な接種は、中学1年生となる年度に、以下のとおり行うこととなります。

  • サーバリックスについては、1回目の接種を行った1か月後に2回目を、6か月後に3回目の接種を行います。
  • ガーダシルについては、1回目の接種を行った2か月後に2回目を、6か月後に3回目の接種を行います。

接種しても子宮頸がんの検診は必ず受けてください。

費用対効果は30-450万円/QALY と言われており、日本の基準である600万円より安価なのでやったほうが国策としては経済的です。

 

 

オーストラリアでの子宮頸がん死亡人数が低下していったグラフ(リンク先の図4) 世界的にはこのワクチンで子宮頸がんはなくなっています。

現在の日本では積極的勧奨がとめられており(すなわち保健所からの通知がこない)

子宮頸がんの増加が懸念されています。

いずれ、子宮頸がんに罹患した人々やその家族が不作為の罪で国家を訴えるような日がこないことを望んでいます。

 

厚生労働省はこのあたりはすでに織り込み済みのようで、通達文書などをよく読むと子宮頸がんワクチンをやっていないことの責任は自治体にあることになっています。

自治体はもしかすると地域医師会が推奨しなかったせいにするかもしれません。

 

こんなふうに、国をあげて科学的におかしなことをしている場面に遭遇すると歴史の時間を思い出します。

極端な例では、ヒトラーがおかしなことを言い出してそれに従順した医師たち。

まだこの世界は完璧ではないのだと教えてくれているかのようです。

 

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