【小児科医解説】赤ちゃんの向き癖、いつまでに治る?原因から対策まで徹底解説
こんにちは!小児科専門医の杉原です。
今日は、赤ちゃんの「向き癖」について、よくある疑問にお答えします。「うちの子、いつも同じ方向ばかり向いてるけど、治るのかな?」と心配されている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、
- 向き癖の原因
- いつまでに治る可能性があるのか
- 向き癖を放置するとどうなるのか
- 向き癖の対策
について、わかりやすく解説します。
向き癖ってどうしてできるの?
赤ちゃんがいつも同じ方向を向いて寝ることを「向き癖」と言います。これには、いくつかの原因が考えられます。
- 斜頭症(しゃとうしょう): 赤ちゃんの頭の形が、左右どちらかに傾いている状態です。お腹の中にいるときや、生まれてからの寝る姿勢などが影響します。
- 例え話:柔らかいお餅を想像してみてください。ずっと同じ方向から押していると、だんだん形が偏ってしまいますよね。赤ちゃんの頭も同じように、柔らかいので、同じ方向ばかり向いていると形が偏ってしまうことがあるんです。
- 先天性筋性斜頸(せんてんせいきんせいしゃけい): 首の筋肉の一部が硬くなっている状態です。そのため、首を動かしにくく、いつも同じ方向を向いてしまうことがあります。
- 赤ちゃんの好み: 実は、赤ちゃんにも好きな方向があります。「いつもママがいる方向を見たい」「部屋の明るい方が気になる」など、赤ちゃんにもいろいろな理由があるようです。
- 例え話:私たちにも、右利き、左利きがあるように、赤ちゃんにも好きな方向があるんですね。無理やり変えようとすると、赤ちゃんも嫌がってしまうかもしれません。
向き癖はいつまでに治る?
向き癖が治るかどうかは、原因によって異なります。
- 軽度の斜頭症による向き癖の場合: 生後1~2ヶ月頃までであれば、意識して反対側を向かせるなど、斜頭症が改善すれば向き癖も改善することがあります。
- それ以降の場合: 残念ながら、生後2ヶ月以降になると、向き癖を完全に治すのは難しくなってきます。
多くの場合、赤ちゃんはお母さんのお腹の中にいるときから好きな方向があります。赤ちゃんの好みなので、無理やり変えることはとても難しいと言えます。
向き癖を放置するとどうなる?
向き癖を放置すると、次のような影響が出る可能性があります。
- 頭の形のゆがみ: いつも同じ方向を向いていると、頭の形が左右非対称になることがあります。
- 顔のゆがみ: 頭の形がゆがむと、顔の形にも影響が出ることがあります。
- 運動発達の遅れ: 首の動きが制限されることで、寝返りなどの運動発達が遅れることがあります。
向き癖の対策
向き癖が気になる場合は、早めに小児科医に相談することが大切です。医師の指示に従って、次のような対策を行うことがあります。
- タミータイム: 赤ちゃんが起きているときに、うつぶせの姿勢で遊ばせることで、首や肩の筋肉を鍛えます。
- ポジショニング: 赤ちゃんがいつも同じ方向を向かないように、タオルなどで支えたり、寝る向きを工夫したりします。
- 理学療法: 先天性筋性斜頸など、首の筋肉に問題がある場合は、理学療法士によるリハビリが必要になることがあります。
最後に
赤ちゃんの向き癖は、多くの場合、成長とともに自然に目立たなくなるものです。しかし、気になる場合は、早めに小児科医に相談し、適切な対策を行うことが大切です。
この記事が、赤ちゃんの向き癖について悩んでいる保護者の方の参考になれば幸いです。