ドクターズブログ
ぼくは赤ちゃんの肌をきれいにするのが大好きです(2019.09.30更新) 小児科医の杉原です。 医師としてうれしいのは、本人やご家族が「あーよかった!」「こんなによくなるなんて思わなかったです」という言葉をいただくときです。 私が井出先生に学び、若手にも指導しているのですが、こんなときに「いえいえ」と自動的に謙遜してしまう医師もいます。しかし、ここは気持ちの受け渡し、贈与がとても大事なポイントと考えておりますので 「そういっていただいて僕も嬉しいです」と素直に自分の気持を表現することにしています。 (蛇足になるかもしれませんが、僕は医療系大学で学生たちにこうした、医療コミュニケーションを教えているのです) 閑話休題。 本人やご家族によろこんでもらいやすいポイントとして赤ちゃんの皮ふを改善すること、があります。 いろいろな理由で赤ちゃんの皮ふは荒れることがあります。 もともと赤ちゃんは皮ふが薄く、あれやすいのですが、いまのお母さんたちは自分が子どものときに他の赤ちゃんたちをお世話することがありません。 ですので、自分のベビーがまったくはじめての体験であることが少なくありません。平均的な赤ちゃんの皮ふの状態というばらつき、広がりというものを知らなくても当然でしょう。 テレビの影響で、つやつやお肌の赤ちゃんが普通、と思い込んでいることもあるかもしれません。 このあたり、秋葉原のAKB48ばかりをテレビでみている草食男子と同じく、テレビにでているものが基準となってしまい、現実と乖離しているのは似ている気がします。 もっとも多いのは乾燥かジクジク、のどちらかでしょう。 赤ちゃんの皮ふの乾燥は遺伝的な影響をうけることもありますが都内で診察していると90%以上がベビー石鹸が原因のように思われます。 テレビの影響で一生懸命、あわだてた高価な石けんを使い、ただでさえ油がなくなってしまった皮ふから油をうばいとっていきます。 そして同じメーカーの市販品の保湿剤を購入し、一生懸命ぬっている人を見かけることもあります。メーカーさんにとっては嬉しいかもしれませんが小児科医としてはムムム・・・と思っています。 こうしたお子さんの相談の場合はテストとして、石けんを一週間とめてもらいます。入浴してもらいますし、お湯で一度は洗ってもらいます。もちろんデリケートゾーンなどべたべたが残りやすい部分は石けんを部分的につかうこともあります。 こうすることで適切に健康的なレベルで、垢やあぶらの貯金ができるのです。医学的にはセラミドという皮ふのバリア機能をつかさどる脂質です。 (セラミドで検索すると、セラミドは飲むのが一番とか、圧倒的、非科学的、金儲け的化粧広告の嵐に圧倒されてしまいます) これをうばわないでください、というだけの話です。 考えてみれば当たり前で、アフリカや北朝鮮で生まれたこどもたちが、そんなに毎日風呂に入るでしょうか?ましてや石けんで油をおとすことができる国は先進諸国だけでしょうし、さらに保湿剤を購入して塗ることができる国家はどれだけのものでしょう? 皮ふのバリアを正常に保つことで、食物アレルギーを予防することにも繋がります。https://www.ncchd.go.jp/press/2014/topic141001-1.html ですので、アレルギー予防のためにも皮ふをきれいに保つことは重要なのです。 一方じくじくする皮ふも赤ちゃんにはよく見られます。首や膝裏などむっちむっちしたかわいいベビーならではの肌と肌が密着して、汗やよごれがたまりがちな部分です。 赤くなり、液体がでてくることもあります。赤ちゃんは痛みで泣き叫ぶことも少なくありません。 こうした場合はステロイドよりも、亜鉛華軟膏といった吸湿成分の強い軟膏を使うことで乾かすことができます。 似たような名前で、ほとんど同じ効能がある、亜鉛華「単」軟膏という製品もあります。しかしこの2つには違いがあります。 ですので浸出液をなくしたい場合は亜鉛華軟膏が適しているということになります。このあたりも医師のさじ加減で使い分けしていますので、お気軽にご相談ください。