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ドクターズブログ

新型コロナSARS-CoV-2 抗体検査はじめました。知っておいてほしいことは・・・(2020.06.22更新)

院長の杉原です。

抗体検査を当院でも提供開始します

検査についての誤解や、問い合わせが多いため、解説を記載しました。

 

現在、新型コロナウイルスCOVID-19について、3種類の検査方法があります。

  1. 抗体検査(当院で検査可能)
  2. 抗原検査(当院では不可能)
  3. PCR検査(当院では不可能)

の3種類です。それぞれを解説しておきたいと思います。

1. 抗体検査(当院で可能。3パターンあり)

    • 抗体とは

      抗体は主に血液中や体液中に存在し、例えば、体内に侵入してきた細菌やウイルス、微生物に感染した細胞を抗原として認識して結合する。抗体が抗原へ結合すると、その抗原と抗体の複合体を白血球やマクロファージといった食細胞が認識・貪食して体内から除去するように働いたり、リンパ球などの免疫細胞が結合して免疫反応を引き起こしたりする。これらの働きを通じ、脊椎動物の感染防御機構において重要な役割を担っている(無脊椎動物は抗体を産生しない)。1種類のB細胞は1種類の抗体しか作れないうえ、1種類の抗体は1種類の抗原しか認識できないため、ヒト体内では数百万〜数億種類といった単位のB細胞がそれぞれ異なる抗体を作り出し、あらゆる抗原に対処しようとしている。(wikipedia より)

      構造としては免疫グロブリンという物質が血液や体内に存在して活躍しています。免疫グロブリンはImmunoglobulinと書きますので、省略されてIgと書きます。種類がいくつかありますが、今回はその中でもIgMとIgGを検査します。IgMは感染してすぐに数を増やす免疫グロブリンで、IgGは遅れて数を増やし、長めに残るのが特徴です。

    • 新型コロナウイルス抗体検査の方法

      細い針を指先に刺し、(2020/07/02追記 実際に届いたキットでやると指先からでは血が不足するので、肘から1-2mlの採血に変更しました)検査キットに垂らします。数分待てば結果が出て、陰性か陽性かがわかります。当院では、指先採血でWBCやCRPを検査しています。経験した方はそちらをイメージしていただければと思います。細い針、といっても、使用する器具は糖尿病の方が自分自身で毎日のように自分の指から微量の血液をしぼるためにつくられた器具ですので、そうとう痛み回避の工夫がなされています。

      1. 抗体検査が陽性だった場合
        以前に新型コロナウイルスにかかったことが証明されます。
        ふつう、抗体が陽性という検査結果をみると、風疹抗体の検査のように、もう免疫があるから大丈夫ですね、という話になります。しかし、新型新型コロナウイルスCOVID-19に関してはそう簡単ではないようです。抗体にいくつかの種類があり、善玉抗体、中和抗体、悪玉抗体といった種類があります。個人差があるので、どの抗体が多くなるかがまだわからないのです。したがってマドンナさんのように、もうどこでも遊びにいっちゃおう、なんて発想はとめてくださいね。
      2. 抗体検査が陰性だった場合。
        新型コロナウイルスでは発症から概ね2週間くらいで8割の人が、概ね3週間くらいでほぼ全ての人がIgMまたはIgGが陽性になります(https://doi.org/10.1038/s41591-020-0897-1)。ということは逆に、2週間くらいまでは新型コロナウイルスCOVID-19にかかっていても、検査では陰性にでる、ということです。
        この期間にみつけるためにはPCR検査の方が有用ですが、あくまで症状がある人でないと現在はなかなか検査が受けられません。

        doi:10.1001/jama.2020.8259 より

    • 抗体検査の意義

      4月ごろから特殊なクリニックや診療所で抗体検査ができるようという噂を聞いていました。しかしながら、海外から輸入した検査キットをしらべてみると、日本感染症学会の発表をみるかぎり、A 社、B 社、C 社、D 社のキットの感度は、RT-PCR の結果と⽐較して、それぞれ 2/5、0/5、3/5 および 4/5 であり、自分の家族には勧められないレベルと考えていました。

       

       また前述した通り、いま激しく症状がでている人には、PCR検査の方が有用です。抗体検査は過去にかかったことがあるのかどうかをみるために使います。ところが一度東京都のロックダウンが解除され、日本製の検査キットがでてきたこと、また科学的な限界をわかったうえで検査を自費でも受けたいというご相談がぽつぽつでてきました。

      そうした背景を受け、 当院では3種類の日本製での抗体検査を用意しました。
      1. 肘などから採血して検査会社に提出するタイプ 結果がでるまで1週間かかります。
      2. (2020/07/02追記)採血して検査会社に提出するタイプその2 結果がでるまで3-4日。
      3. 指先から数滴だけ血液をたらし(2020/07/02追記/変更)1-2mlの採血で、院内ですぐに結果をだすタイプ 10分前後で結果がでます。

    • どうちがうの、という質問がありそうですね。細かい数字は割愛しますが、精度<--->スピードのバランスと思ってください。

 

 2. 抗原検査(当院では不可能)


抗原というのは、ここでは体内に侵入してきたコロナウイルス、コロナに感染した細胞を言います。それを検査する方法です。

イメージとしてはインフルエンザ検査キットのように鼻に長い綿棒をいれてグリグリされる、あれです。フル防御の準備が必須です。


以下、学会による「新型コロナウイルス感染症に対する検査の考え方」より。
5月 13 日に新型コロナウイルス特異蛋白を迅速に検出する方法が承認されました。イムノクロマトグラフィー法を用いた検査で、検体採取から約 30 分で結果の判定が可能です。普及にはもう少し時間がかかるようですが、6 月には 1 日 2 万検体用のキットが供給される方向で進んでいます。RT-PCR 検査との比較では、行政検査検体を用いた時の陽性一致率が 66.7%、陰性一致率が 100%であるとされています。PCR 検査に比べて、感度が低いことに注意しなければなりません。本法において陽性が得られた場合には確定診断としての意義が高いが、陰性であったとしても完全には本症を否定できないということになります。この成績は鼻咽頭拭い液を用いたものですが、現在、唾液を用いた場合の陽性率に関しても検討されています。

この検査キットが発売されるときに杉原はテレビの取材をうけ、その簡便性とともに、感染リスクの高さからふつうのクリニックが安易に導入できるものではない。大きな病院の作業をPCRより楽にするためのものだ、と提言しました。

ユアクリニックでは導入しておりません。
もしかすると、
「厚生労働省は6月19日、唾液を検体として新型コロナウイルスSARS-CoV-2)抗原を測定する抗原検査試薬「ルミパルス SARS-CoV-2 Ag」を承認した。」
といったニュースだけをみると、唾液でやればいいじゃない、とおもうかもしれませんが、インフルエンザのような検査キットではなくて大学病院じゃないと買えないような国内に800台しかない検査器械が必要なんです。

 

3.PCR検査(当院では不可能)

こちらも、鼻水をとるところまでは、インフルエンザ検査キットと一緒です。ただしフル防御の服装が必須です。

新型コロナウイルスに特異的な RNA 遺伝子配列を RT-PCR 法等により増幅し、これを検出する検査法です。(どれだけ大変か動画もどうぞ
現在利用されている主な機器としては以下があります。感度が高いことが本法の特徴ですが、一般的な短所として、検査時間が長い(1-5 時間)、専用の機器および熟練した人材が必要、高コストなどがあげられます。また、鼻咽頭拭い液の採取による被験者の感染には十分に注意しなければならなりません。最近の報告では、唾液を用いた遺伝子検査で鼻咽頭拭い液を用いた場合と同等の陽性率が得られることが報告されています。(3学会による「新型コロナウイルス感染症に対する検査の考え方」より。)

検体を運ぶときにも特殊な容器にいれて輸送する必要があります。こちらのイラストをご覧になると想像しやすくなるかもしれません。

現在千代田区では、東京逓信病院でもPCR検査が受けられるようです。

 

 

当院では徹底した新型コロナウイルス感染対策をしながら診療を継続しております。またオンライン診療も行っております。全国どこからでも内科、小児科についてオンライン診療が可能です。お気軽にご相談ください。

COVID-19の母より出生した児の陽性率は経膣分娩・母乳育児・母親との接触によって増加することはなかったという論文(2020.06.22更新)

COVID-19の母より出生した児の陽性率は、経膣分娩、母乳育児、母親との接触によって増加することはなかった、という論文の紹介です。

母乳を与えているお母さんたちに是非伝えたい。

コロナがこわくて、母乳をやめることはありません!!

 


12-Jun-20 Systematic Review
SARS-COV-2の母から新生児へ伝播とその伝播経路の可能性:系統的レビューと批判的吟味
Walker KF, O'Donoghue K, Grace N, et al.
Maternal transmission of SARS-COV-2 to the neonate, and possible routes for such transmission: A systematic review and critical analysis.
BJOG. doi:10.1111/1471- 0528.16362


https://obgyn.onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1111/1471-0528.16362 <https://obgyn.onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1111/1471-0528.16362

 

  • 論文49本から655の感染妊婦と666名の新生児データを収集
  • 666名の新生児中28名の陽性者 28/666=4%
  • 胎内感染と確定した事例はない。
  • 経膣分娩で出生した新生児での陽性率8/292=2.7%、帝王切開で出生した新生児での陽性率20/374=5.3
  • 母乳で育てられた148名中陽性7名 7/148=4.7%、人工乳56名中陽性3名 3/56=5.4%、搾母乳の5名中1名陽性、授乳方法の記載のない460名中陽性17名 17/460=3.7%

児の陽性率は、経膣分娩、母乳育児、母親との接触によって増加することはなかった。<ーーココ一番大事!!

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