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ドクターズブログ

水いぼ、どうしたらいいですか?こうしましょう!(2019.07.31更新)

 

この時期によくある相談。

水いぼ、どうしたらいいですか?という質問。

僕が医師になってからずっと同じようなやりとりが続いている。

医師によって意見が違うからでしょう。

 

例えば大阪府医師会のページではこう書かれてあります。

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「水いぼ」は、子どもによく見られるウイルス性に皮膚感染症です。
皮膚に小さな丸いいぼができる以外に特に症状はなく、かゆみや痛みもありません。基本的に自然治癒することが多いものですが、まれに全身に広がって悪化したり、ほかの子どもにうつしてしまう場合もあります。早めにかかりつけ医に相談するようにしましょう。

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▷ウイルス性の感染というのは正しいと思います。

▷しかし「かゆみも痛みもありません」というのは間違いだと思うのです。
掻き壊して広がり、来院する子が少なくない。



また、こんな記載も
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水いぼは自然治癒することが多く、基本的には放置して良いものです。しかし、基礎疾患がある場合や、長くかかって広がっていく場合などには、ピンセットを用いてつまみとったり、液体窒素を用いて凍らせて取ったりする治療を行うこともあります。子どもにとってどれがベストな方法なのか、かかりつけ医とよく相談してください。

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▷自然治癒するのは本当だが、患者さんは困っているから受診するのだと僕は思っています。放置して良いと思うレベルの水いぼの人はそもそも受診することがほとんどないはずだから。なんとか力になってあげることが必要ではないでしょうか。

▷治療方法はいくつか選択肢があります。

 

治療方法について

僕の知る限りの治療方法はこれだけあります。

*以下の治療のうち、現在ユアクリニック秋葉原では摘除処置は行っておりません
 摘除処置をご希望の方は、水いぼ処置の経験が豊富な皮膚科専門医のいる【ユアクリニックお茶の水】へご連絡ください 追記 2020年10月14日 皮膚科医杉山美紀子医師の退職にともない、ユアクリニックお茶の水の治療ができなくなってしまいました。皮膚科医に相談するときには、ユアクリニック秋葉原の目の前にある秋葉原スキンクリニックをご案内します。ただ摘除するかどうかは医師の判断によりますのでご了承ください。

 

摘除処置

 特殊なピンセットで摘除(+事前の痛み止めテープ)

僕も研修医時代はピンセットで水いぼ摘除をやったことがあります。
というより、それしか教えてもらえなかったと思います。

丸いリングが先端についたピンセット。

昔は麻酔すらしなかったのでなんと残酷な治療だろうと思っていました。

さすがに皆さんも同じことを思ったようで、最近では麻酔薬テープ(ペンレステープ)を事前(1-2時間前程度)に貼ってから摘除をするようになっています。

 

だけど僕が思うに、昔の「水いぼ」のイメージはこんなサイズ感ではないでしょうか。10mmサイズを超えてくるような大ものであり、ひっかけて取れてしまいそうです。こんなのが多発しそうだったらやはり摘除しようかと僕も思ってしまいます。

けれど、現代の「水いぼ」はせいぜい1-2mmのサイズで大きくても5mmにならないレベルで受診することがほとんどなのです。これだと摘除してもいいですが、他の方法でできることがないかな…と探したくなります。

 

同じ「水いぼ」でも時代によって、これくらい言語の中身が異なる場合があります。時代や地域、小児科か皮膚科か、によっても異なるでしょう。治療方針をめぐって結論がつかない理由の1つではないだろうか、と勘ぐっています。

ピンセット摘除なら確実に見た目の結果は得られます。しかし、まだ発芽していないものはこれからでてきますし、そもそも保育園などでの(プール以外も含めた)接触を禁じない限りはまたもらってくるので意味がない、とする医師も少なくありません。

くわえて、摘除後にクレーターのような皮膚ができたままの子をときおり見かけます。

これは推測ですが、湿潤療法のような形で傷をなおせば、瘢痕のような残りは防げるのではないかと考えています。だから摘除=クレーターができるからダメ、とは思っていません。

 

液体窒素(-196度で凍結療法)

 おもに皮膚科でおこなってもらえる治療法の1つです。ユアクリニックお茶の水の皮膚科でも液体窒素が準備されています。クライオプロというスプレーする機器があるので病気の部分だけを凍結させることができるのです。そのままだとやはり痛みを伴うことが多いので、麻酔薬テープを事前に貼るというのはピンセットによる摘除方法と同じです。 (2020/07/01追記 皮膚科の先生から教えて頂き、修正しました。麻酔薬テープつかってないとのことです)2020/10/14追記 皮膚科がユアクリニックお茶の水からなくなりました。

メリット・デメリットも、ピンセット療法と同じだと考えています。

 

もっと優しい、内服・外用による治療

ヨクイニン

 ハトムギ茶の成分で化粧品にもよく入っている成分です。

プラセボと変わらないという理由で処方しない先生もいるのですが、代わりのプラセボを保険診療では処方できないのですから、処方してあげて30%著効するならば、保護者としっかり話ができていれば有効な方法の1つではないだろうか、と個人的には考えています。漢方の論文を集めると効いたという論文は数多くあるのですが、比較症例数が30人程度、と少ないものばかりです。

たしかに僕も一度集計しようとおもってまだ手をつけてないのですけれど。
感覚としては1/3の人にはよく効く
1/3の人にはまあまあ。
残りの1/3にはぜんぜん効かない、という印象があります。

この証ならばヨクイニンが効くといったパラメーターがないか探しているのですが、よいものが見つからないというのが現状です。

 

皮脂欠乏症を改善するための保湿剤

 皮膚が乾燥していたり、アトピー性皮膚炎のお子さんに水いぼが悪化することが知られています。皮膚のバリア機能が低下しているため、水いぼの原因であるポックスウイルスが侵入しやすいのでしょう。

これを防御するためのバリア機能アップが、保湿剤。
プロペトをはじめとするワセリン剤、ヒルドイド系の保湿剤をつかうことである程度のバリア機能の回復がみこめます。
もっとも入浴でごしごしナイロンタオルでこすってしまっていたり、泡石鹸を過剰につかって乾燥肌を余計に乾燥させている場合では意味がなくなってしまうのですが。

 

黄耆建中湯などの皮膚改善漢方薬

上と同じ理由で、皮膚のバリア機能を高めるための漢方薬です。
いまあるイボをとりさる効果はないのですが。

代表的なものが黄耆建中湯。
皮膚に効果のある漢方薬を列挙し始めて、その使い分け云々まで深堀りすると何ページあってもたりないのでここでは割愛します。

 

イソジン刺激療法

 これは渋谷区の川上先生から教わった方法。爪楊枝の持ち手側にイソジン液を付け、水いぼを破らない程度にひねりながら塗布します。毎日の入浴前にこれを親御さんにやっていただき、乾いてからお風呂できれいに洗って、タオル清拭後に保湿剤をたっぷり塗り込む、という手法です。実はあんまり試したことがなく経験的にどのくらい効果があるのか実感がないというのは正直なところです。

2020/10/14追記。最近はこちらの治療方法が増えています。テープを切って貼るという作業が大変なのと、イボが小さすぎて、周りの性状な皮膚にテープかぶれを起こしてしまうという例があってから小さな5mm以下のものにはまずこちらを勧めています。反応はかなり良好で3週間もあれば効果がみられます。爪楊枝でも綿棒でもよいので、少量のイソジン液を毎晩塗付してもらいます。入浴前より入浴後に塗付してもらい、そのまま一晩すごしてもらっています。

 

硝酸銀をぬる(硝酸銀溶液から硝酸銀だんごへ)

僕が多摩センター時代によくやっていた治療方法です。
硝酸銀(劇薬)を水いぼにぬると黒く科学反応おこして水いぼが取れやすくなります。

硝酸銀溶液のままだと、皮膚にたらっとたれてしまうことがあり、正常な皮膚まで黒くしてしまうことがあります。まあ数日でよくなりますが、あまり見栄えのよいものではありません。

そこで、小麦粉に硝酸銀水溶液を吸わせた、硝酸銀ダンゴという治療法があります。
準備が少し大変で、均一な質をたもつために、当時は薬局さんにお願いして小麦粉を分包したものをつくっていただきました。そこに硝酸銀溶液をたらしてペーストをつくります。このペーストを水いぼの上にぬれば、たれることがありません。上から注射後の絆創膏などでカバーすれば汚れもふせぐことが可能です。

課題は、準備とペーストを塗ることに時間がかかること、でしょうか。

 

 スピール膏

 湿潤療法の夏井睦先生から教わった方法

スピール膏とは、くすりでいうと、サリチル酸です。面白いことに、市販で購入できるスピール膏TM ワンタッチEXには注意書きとして

【してはいけないこと】
守らないと現在の症状が悪化したり、副作用が起こりやすくなる。
次の部位には使用しないでください。

・みずいぼ

と書いてあります。濃度は45mg/cm2

 

ところが処方箋で扱うスピール膏Mの効果/効能をみると
疣贅、鶏眼、胼胝腫の角質剥離。
とあります。

濃度は357g/m2。

35.7mg/cm2でむしろこちらのほうが濃度が薄めのようです。

 

このテープ剤をイボのサイズに切って、貼り付けます。
数日で枯れてきます。
枯れておちたあとはキズパワーパッドのようなハイドロコロイド剤をはっておくといいのでしょうが、1,2mm大のものが散在していると全部のカバーは難しいかもしれません。

少し扱いに難しいのは正常な皮膚に付着するとピリピリ痛いことです。
だから水いぼがあまりにも小さいとやりにくい。
3mm大くらいになってくれると5mmサイズにカットしたものも貼り付けやすくなります。

これも保護者にお願いする作業なので、水いぼの数が増えるほど、面倒になります。毎日きちんとやってくれるご家庭はいいのですが。
忙しいおうちだとなかなか徹底できないこともあります。

 現在は、ユアクリニック秋葉原ではこちらの治療方法をメインとしておこなっております。(2020/10/14追記 イソジン消毒のほうがメインになってきています)

 

プール禁止について

これについては、保育園VS小児科医のような図式をよくみかけますが・・・

保育園はプール禁止。小児科医はプール可能。放置して良い、と伝えるのですが、学校ではいれてくれない。ということで摘除してくれる皮膚科に結局駆け込むことになっているのだと想像します。だから、皮膚科の先生からしてみると「親御さんがこんなに困っているのに、なんで小児科は何もしてくれないんだろう??」と思ってしまう可能性を考えざるをえません。

地区によっては医師会での基準を統一していますが、保育園とこれを協同して守っているというところを聞きません。

治癒証明書なら、多摩市医師会は学校と協力してルールを1本化しているので、千代田区でも頑張ればできないことはないと思うのですが・・・

医学的に正しいこと、が世間に広まるとは限りません。

学会もそういうことはやりませんし、医師会もこういう小児科方面を整備しようというモチベーションは高くないです。
神田医師会にはまだ医師会の中で小児科部会も存在しないですし。
僕はこれまで知りませんでしたがどうやら小児科医会という組織がそういう現実レベルに落とし込むという仕事をやっていることがだんだん分かってきました。僕もここのメディア委員会の末端に名前を連ねております。(2020/10/14追記 気がついたら東京小児科医会の理事になってました)

 

 決着がつかないということは、逆にいうと決着つけなくても相対的に大丈夫な程度の課題、なのかもしれません。

日本全体の医療を統括する人からみたら、水いぼプールなんてことより、ほっておいたらその人の人生や家族の人生を大きく左右する爆弾のような高血圧とか、糖尿病の管理のほうが数も圧倒的に多いし、日本の生産性に関わってくるんだよ!と怒られてしまうような、些末な問題にみえるかもしれませんね。

 

 

追記 2020年10月14日

こんなニュースをみつけたので貼り付けておきます。今後の水いぼ治療がもっと子どもにとってハードルのひくいものになりそうな朗報です。

 

Medical Tribuneの記事より一部抜粋。オリジナルはJAMA Dermal  https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32965495/  になります!

水疣治療、民間療法の"毒薬"を安全に塗布

2件の第Ⅲ相RCTで検討

 水疣(伝染性軟属腫:MC)は小児に多いウイルス性皮膚感染症である。米・University of California, San DiegoのLawrence F. Eichenfield氏らは、小児および成人のMC患者において、専用の使い捨てアプリケーターによるカンタリジン溶液塗布の有効性と安全性をビヒクル塗布と比較する第Ⅲ相ランダム化比較試験(RCT)を実施。この方法での薬剤塗布がMC病変消失に有効かつ安全であることをJAMA Dermatol(2020年9月23日オンライン版)に報告した。カンタリジンは毒性が強いが、民間では古くから疣贅除去や発毛の用途、さらには媚薬として使われてきた。

薬液を封入した単回使用のアプリケーター

 カンタリジンは、皮膚に付くと痛みと水疱を生じる有機化合物で、ツチハンミョウ科の甲虫が放出する毒液の成分でもある。

 今回の試験で検討されたのは、Verrica Pharmaceuticals社が考案した、カンタリジン0.7%(w/v)溶液入りアンプルを瞬間接着剤の容器のような単回使用アプリケーターに密封したVP-102と呼ばれる製品。

21日ごとに塗布して病変消失率を比較

病変消失率高く、安全性も想定の範囲

 

JAMA Dermatol 2020年9月23日オンライン版)

 有害事象は、VP-102群ではCAMP-1の99%、CAMP-2の95%で、ビヒクル群ではCAMP-1の73%、CAMP-2の66%で認められた。有害事象の種類は想定内のもので、発現頻度が高かったのは、塗布部位の小水疱、痛み、瘙痒、紅斑、痂皮であり、ほとんどが軽度~中等度であった。

 これまでは、カンタリジンの純度や製剤中の含有量、調剤方法、治療期間、塗布方法が統一されていなかった上、医師が入手することも困難で、研究報告もほぼ小規模の後ろ向き研究に限られていた。Eichenfield氏らは「一般的な皮膚疾患にもかかわらずFDA承認済みの治療法が存在しないMCに対して、VP-102は有効かつ安全な治療法となる可能性がある」と述べている。

(慶野 永)さんの記事。

 

2021/01/06追記

伝染性軟属腫は小児科医にとって子どもの病気です。しかし、皮膚科学的には性感染症という側面もあるのです。大人の場合は性行為を通じて外陰部やその周辺にみずいぼができることがあるのです。性器伝染性軟属腫の好発(よく起こる)年齢は20台といわれています。性行為でうつることが多いですが、タオルやスポンジなどを通して間接的に感染することもあります。そして、子供から感染することもあります。感染は基本的に皮膚から皮膚への感染であり、主にスキンシップでうつります。小児科の伝染性軟属腫と同じく、患部をかいたりしてしまうとウイルスが拡がってしまうこともあります。潜伏期間は2週間から6ヶ月ほどで、長くても半年くらいまでではないかといわれています。

私の治療は子どもたちに実践してその効果を実感しているのですがまだ、成人に試してどうだったのか、まとまったデータがありません。ときおり相談をうけてどうしてもという方にはお試しすることもあります。いずれその治療結果もまとめていきたいと考えています。

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